文化財級 | サウンドトラック | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:K32X 7034 | キングレコード ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
ノイマンのマイクU87を20本使ったマルチマイクによるライヴレコーディングである。ライナーノーツに、エンジニアによる詳細な録音データが解説されている。これによると、弦セクションに3本、管セクションに2本のU87をセットし、この5本をメインとしてオーケストラの音像を捉え、その他のマイクは各楽器に補助用としてセットされた。 そして通常のライヴレコーディングであれば、これらの音源をマルチトラックに振り分けるのであるが、あえて、2トラックに直接ミキシングしている。マルチトラックの編集しやすさよりも、一発録りの自然な音像表現を狙った選択なのである。ライヴコンサートが一期一会の緊張感が得られるものであるならば、こうした一発録音も、エンジニアに一期一会の緊張感を与え、それが演奏の熱気を生々しく捉えることにつながるのである。デジタルによるライヴレコーディングがまだ珍しい時代の成功例として評価できる。 マルチマイクによる音像は、各楽器が明瞭に捉えられ、ステージレイアウトも曖昧なところはない。弦セクションに対し金管セクションは奥行を感じる配置になっていて、この距離感がオーケストラの広がりのある空間表現に貢献している。 打楽器、ピアノ、それに強烈なブラスなど、伊福部昭の曲の中でも特に迫力のある曲だけに、ダイナミックレンジも充分な余裕を確保し、野太く腰の強いTuttiを聴かせてくれる。 唯、マイクが楽器のリアリティを重要視し過ぎているため、ホールトーンはほとんど生かされていない。実況録音のリスクを回避しようと客席の気配を嫌ったことで、各楽器のディテールははっきりしたものの、オーケストラの全体像が掴みきれないものとなったことは否めない。もう少し残響成分を捉えることができれば、パーフェクトな録音が誕生したかもしれない。 |
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文化財級 |