世界遺産級 交響曲
作曲家 ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
曲名 交響曲第3番変ホ長調「英雄」
指揮 シャルル・ミュンシュ
演奏 ボストン交響楽団
録音 1957.12.2 ボストン・シンフォニー・ホール
プロデューサー リチャード・モア
エンジニア ルイス・レイトン
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.2
商品番号:JMCXR-0019 ビクター(RCA) ステレオ XRCD2
解説
ステージ上が豊かに響くホールでの録音だということがよく分かる。オーケストラの近くにマイクを置いているにもかかわらず、フォルテ時の混濁や耳障りな響きは少なく、また弦と管のバランスも良好である。ホルンがもう少し聴こえてほしいと感じるが、各楽器の音が近すぎないため、ステージレイアウトも詳細に表現できている。RCAの2枚看板であったライナー・シカゴSoでのセッションは、ステージの響きが少ない分、各楽器が分離良く明瞭に聴こえてくる音作りであったが、ミュンシュ・ボストンSoではホールの雰囲気を捉えたヨーロッパ調のサウンド志向であると言える。
アメリカのオーケストラではヨーロッパの響きに最も近いとされるボストンSoに、フランス人シェフ、ミュンシュを組み合わせたこの録音は、まことに美味いものとなった。1楽章の推進力のあるアクセントは、編成を大きく採ったオーケストラが、軽やかに、そして力強く鳴り響く。2楽章も悲壮感に引っ張られることなく、客観的に音の美しさや穏やかさといったものを追求している。ただ唯一、トランペットが強すぎる傾向にあり、4楽章最後など、その軽率な音に腰砕けになってしまった。残念。
ビクターの挑戦的なテクノロジーXRCD2によるリマスターは、原音に忠実なありのままの音像を再現している。当時の録音技術やエンジニアの音作りを見事に伝えてくれている。
世界遺産級