愛蔵盤級 交響曲
作曲家 アントン・ブルックナー
曲名 交響曲第8番ハ短調
指揮 クルト・アイヒホルン
演奏 リンツ・ブルックナー管弦楽団
録音 1991.7.4 リンツ・ブルックナーハウス
プロデューサー 井阪 紘 Hiroshi isaka
エンジニア Yasuhisa Takshima
その他 JVC System Neumann SM69 U87
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.2
商品番号:CMCD−20028 カメラータ  ステレオ
解説
良質なオーケストラサウンドを安らかな気持ちでゆったりと楽しめる録音である。
ffでのTuttiでも過剰にダイナミズムを追うことはなく、pからfまで有機的に音像が結びついていく。音楽の抑揚と音響的な強弱が見事にバランスされて生き生きとした音像表現となっている。
ホールトーンは過不足のない自然な広がりが捉えられている。オーケストラの残響は、このホールトーンの中で伸びやかに放射されている。しかし響きすぎて音像が曖昧になったり細部が埋没してしまうようなことはなく、各楽器は見通しよく聴き取ることができる。
ステージレイアウトは各セクションがあるべき所に適正に配置され、定位がぶれることはない。左右の定位感に加えて奥行への定位も工夫されており、2chステレオのスペックの中で雄大な音響効果を成しえている。
実存感は赤裸々に各楽器がクローズアップされることはないが、コンサートホールで聴くオーケストラの姿が見えてくるような生々しさがある。強調感のないストレートな音像表現であると評価できる。
ダイナミックレンジは充分に伸びやかで広々とした帯域を確保していて、迫力に欠けることはない。
ライヴではない、時間を掛けて丁寧に進められたスタジオセッションの醍醐味を味わうことができるだろう。
唯一、全体の音像表現の中ではTuttiでの強奏時に、弦セクションと管セクションが分離してしまっているのが惜しまれる。二つの別々の空間が機械的に足されたような不整合さを感じてしまうのである。そこがこの録音の評価を今ひとつ上げられなかった原因である。
愛蔵盤級