愛蔵盤級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:9031−77313−2 | テルデック ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
弦セクションが、左右いっぱいに広がったステレオ感を描いているが、金管セクションに比べて近接的に捉えられているため、弦が強調された音像表現に聴こえてしまう。また、残響は豊に含まれているが、生々しい空気感とはなっておらず、各楽器の音のリアリティは乏しい。しかし古典音楽を大規模な近代オーケストラで鳴らしきった、迫力あるサウンドとして楽しむことはできる。 ドイツ人指揮者マズアとアメリカ代表オケ、ニューヨークPOとの組み合わせは、結局10年にも及ぶ良好な関係となった。マズアによって随分シェイプアップされたニューヨークPOは、ドイツ音楽の王道を行く本場オケにも劣らない、渋く堅実な演奏を聴かせてくれるようになった。しかし、反面、鳴りを抑えた気の抜けた演奏であるとも言える。 ベートーヴェンの交響曲は、ベーレンライターという新しい楽譜で颯爽と演奏されることが多くなった。この演奏も、迫力とスピード感で、かっこよくベートーヴェンを聴かせてくれる。又、この演奏は、1977年に東ドイツのベートーヴェン研究家ペーター・ギュルケが校訂した、いわゆる「ギュルケ原典版」に基いている。一般的な「ブライトコップ版」との違いは、3楽章にある。1809年に同社から出版された楽譜は、ベートーヴェンの意図しない2小節が書き加えられており、再三の訂正要請にもブライトコップが応えなかったために、当時は、間違ったままの演奏が定着していた。この間違いを指摘したのがライプツィヒで指揮者を務めていたメンデルスゾーンである。その後は間違いを訂正したものが出版されたのだが、そもそも、その2小節の意味を考え直そうとしたのがギュルケなのである。 3楽章は、今ではA−B−A’という3部構成になっているが、初演当時はA−B−A−B−A’という5部形式になっていたのである。この2回目の繰り返しを行なう「括弧」のところにあったのが、問題の2小節なのである。ブライトコップは、出版の際に、この括弧と繰り返し記号を削除するミスを犯した上に、繰り返しのために必要な2小節間を残してしまったのである。こうした2重のミスによって3楽章の構成は大きく変わってしまったのである。上述したように、現在の一般的な3楽章でも、ミスの一つを訂正しただけであり、本来の5部形式にはなっていない。そのため、ギュルケは原典版として繰り返しの括弧部分を復活させたのである。 マズアがニューヨーク・フィルハーモニックと「運命」を録音するにあたり、ライプツィヒから「本物」の楽譜を取り寄せたということは、この録音の価値を高めるものとなっている。 |
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愛蔵盤級 |