愛蔵盤級	交響曲
	作曲家 ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン 曲名 交響曲第５番ハ短調「運命」 指揮 レナード・バーンスタイン 演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック 録音 １９６１．９．２５　マンハッタン・センター プロデューサー ジョン・マックルーア エンジニア 評価項目 評価内容 ホールトーン ９ ステージレイアウト ７ リアリティ ８ クオリティ ７ ダイナミックス ８ 平均点 ７．８
商品番号：ＳＭＫ　４７６４５	ソニー（ＣＢＳ）　ステレオ
解説
たっぷりとホールトーンを捉え、オーケストラに遠近感を与えようと試みられた積極的な録音である。ステレオ初期の録音で、左右へのステレオ感と音像の奥行感を表現しようとしたエンジニアの苦心が伝わってくる。マンハッタン・センターはステージを使った録音というよりも、デッカにおけるゾフィエンザールのように、客席フロアを使ったスタジオセッションであると思われる。オーケストラは全方向に大きな空間を感じることができ、その響きと空気感がこの録音を特徴付けている。同じ場所での他のセッションと比べても、この録音の残響は際立っている。 弦セクションと木管セクションは実物大の音像であるが、金管セクションは１段遠くに配置されたステージレイアウトで、Ｔｕｔｔｉでのｆｆでも音量的に前に出てくることはない。ドイツ的な重厚感を狙った表現なのかもしれないが、オーケストラ自体の華やかさが強すぎて、そうした渋みを出すには至っていない。しかし、全体の実存感はまずまずで、弦セクションの響きは肉感のある骨太の音像に仕上がっている。 バーンスタインの演奏は、１楽章の足取りが重たく推進力に欠ける。今時の演奏とも、当時の巨匠たちの演奏とも違う、収まりどころのない曖昧なテンポ設定と言わざるを得ない。しかし、２楽章以降は肩の力も抜け、躍動感や高揚感が増してくる。４楽章の繰り返しを行なっているところなど、バーンスタインの曲への共感ぶりも伺える。
愛蔵盤級