文化財級 交響曲
作曲家 ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
曲名 交響曲第3番変ホ長調
指揮 ブルーノ・ワルター
演奏 コロムビア交響楽団
録音 1959.1.25 アメリカン・レジオンホール
プロデューサー ジョン・マックルーア
エンジニア
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.4
商品番号:SMK 64461 ソニー(CBS) ステレオ 
解説
コンサートから退いたワルターのために、レコーディングによる現役活動をサポートした、プロデューサー・ジョン・マックルーアによる一連の録音は、ステレオによるワルターの演奏を伝える貴重な記録資産となっている。レコーディング技術においても、ステレオ録音がようやく軌道に乗り始めた頃であり、エンジニアたちのひたむきな努力と、この巨匠の残された命をテープに刻み込もうとする執念が、途方もないエネルギーを消費しながら、一曲一曲を積み重ねていった。ベートーヴェンの交響曲全集は、短期間で集中的に録音されており、音像表現上の違いは殆どないと言える。
ワルター・コロムビアSoの数々の名盤については今更語る必要も無いだろうが、一連の録音は、ワルターの芸術性をオーケストラが受け止めきれずにいて、どれも二級品の出来栄えであると言わざるを得ない。各奏者の力量は窺い知れないが、総合力としてのアンサンブルは決して評価できるものではない。
一方、録音は時代以上の優れた内容であり、ホールの残響を充分に生かした豊なホールトーンを背景に、オーケストラは左右への広がりと奥行への深みを表現している。音質こそ古さを感じるかわいた響きになっているが、ダイナミックレンジも必要充分で不満を感じることはない。ffでのTuttiでは音に圧迫感を覗かせるが、mpレベルではむしろ細部まで見通せるリアリティがあり、コントラバスなどの低弦の唸りがずっしりとした重みを伴って捉えられている。
また木管群の音質もまずまずで、各楽器のつながりやアンサンブルのまとまりも良好である。

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