文化財級 | サウンドトラック | ||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:COCC−13037−8 | コロムビア ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||
ポップス・オーケストラによる、アニメサントラのライヴコンサートである。オーケストラに加えて、ボーカルや声優によるナレーションなども演出された、一大イベントの実況録音である。 宇宙戦艦ヤマトは、1980年当時、まさに日本中にブームを巻き起こしていた。アニメの人気だけでなく、その音楽も高く評価され、クラシックとポップスの融合として、オーケストラに新しい音楽ソリューションを提示してくれた。映画のサウンドトラックは飛ぶように売れ、比較的低年齢の子供たちにも受け入れられていた。著者も、当時小学校の高学年であったが、このカッコイイサウンドがあったからこそクラシックの世界に踏み込むことができたのである。始めたばかりのトロンボーンを練習しながら、いつか「ヤマト」を演奏したい、と夢を描いていたのである(未だ実現されず!)。 録音は、クラシックアルバムであればデジタル録音が始まったばかりの1980年である。コロンビアであれば、デンオンレーベルで、すでにPCMデジタル録音が軌道に乗っていた。残念ながらこの録音ではアナログフォーマットであるが、むしろ、アナログ時代の最高スペックでの録音が実現できたと言ってよい。 ライナーノーツには、使用した録音機器の一覧表と、マイクアレンジの配置表が記載されている。エンジニアたちが、このアルバムにどれほどの思いを込めていたのかが伺える(使用されたマイクは100本にも達している)。 スタジオとは違い、ライヴでの録音、しかも会場が武道館とあって、大規模な空間の中でオーケストラを捉えることはとても難しいことだと察する。しかも、コンサートはマイクによるミキシングをアンプを使って送り出すため(PAあるいはSAという)、録音側の音作りとは根本が違っている。会場にPAする音をそのまま記録すれば良いというものではない。 そうした様々な条件をクリアするためにも、各楽器にマイクをセットし、100本ものマイクで機械的に音像表現を描かなくてはならなかったのである。 純粋なアコースティックなオーケストラサウンドではないが、エンジニアがスピーカーの前のリスナーのために、どれほどの情熱でこの録音に挑んだのか。その姿を思い描きながら聴いてみて欲しい。 ささきいさおが歌う「宇宙戦艦ヤマト」に興奮し、川島和子のスキャットにヤマトの雄姿を思い、古代や沖田の懐かしい声に耳を傾けてみる。 ヤマトへの特別な思いのある人であれば、このライヴアルバムは外せないものであるだろう。しかし、そうでない人にも、オーディオ的な楽しみを十分に満たしてくれるはずである。 このアルバムは、時代を象徴する貴重な記録であり、エンジニアたちの挑戦の記録でもある。そして、それが単なる記録に終わらないのは、刻み込まれた音の一つ一つが、聴く人の心を捉える素晴らしい内容に仕上がっているからである。 |
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