文化財級 オペラ/合唱曲
作曲家 リヒャルト・ワーグナー
曲名 楽劇「ラインの黄金」
指揮 ゲオルグ・ショルティ
演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴォーダン:ジョージ・ロンドン
アルベリヒ:グスタフ・ナイトリンガー
録音 1958.10   ウィーン・ゾフィエンザール
プロデューサー ジョン・カルショー John Culshaw
エンジニア ゴードン・パリー Gordon Parry
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.2
商品番号:455 555−2 デッカ  ステレオ 
解説
テープノイズや音やせなど、録音の古さを感じさせるものはほとんど無い。時代を超えた最高品位の仕上がりである。語りつくされたカルショウの偉業「指輪」の第1作にあたる。ゾフィエンザールの床面を生かしてオーケストラを自由に配置した上で、デッカが考案した新スタイルのマイクアレンジで広大な空間を表現した大規模録音である。
歌劇場で聴くオーケストラサウンドとは異なる、コンサート形式で行なわれたオーケストラの音像表現であると言える。シンフォニックなオーケストラサウンドが眼前に展開し、その背後、若干高い位置に配役たちの独唱が並ぶ。ここでのオーケストラと独唱者との距離感が、空間表現を大きく広いものとし物語の雄大さを捉えている。ステージレイアウトは、各楽器が充分なステレオ感を持って配置され、セクション間の分離やつながりも良く、見通しの効いた抜けの良さも確保されている。
ラインの夜明けを表現するホルンやトランペットなどのブラスセクションや、美しい調べを奏でるハープの処理など、オーケストラの最も高貴なサウンドイメージを見事に表現している。
これだけの音響効果を、同時録音でミキシングしたエンジニアたちの高い志に敬服する。
当時無名に近かったショルティを起用し、ウィーン・フィルという最高のクレジットを冠して発売されたこのシリーズは、歴史に残るセールスを記録し、弱小レーベル「デッカ」を一躍メジャーに押し上げた。この「安い指揮者」を使って「売れる録音」を行なうデッカの手法は、デジタル時代の「デュトワ」シリーズへと続いていくのである。
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