世界遺産級 | オペラ/合唱曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:FOCD9274 | フォンテック SACD ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
SACDの為のマルチch録音であるが、ここでのチェックは2chステレオである。 マルチマイクの利点が生かされ、各楽器は一切のよどみのない、鮮明で分離の良い透明な音像で捉えられている。最新のデジタル技術の良い面が顕著に現れた、文句の付けようのない録音である。pでの静寂さや見通しのよさはもちろんだが、ffでのTuttiでも音像にブレはなく、耳障りな圧迫感とは無縁の音像表現である。 ホールトーンは、一本のマイクが捉えた自然で生々しい空間表現とは趣を異にするが、マルチマイクが構築した計算されつくした空間表現は、これがホールの響きに包まれるということなのだということを改めて思い出させてくれる。客席で感じる、自然で包み込まれるような安心感さえも与えてくれるのである。 この豊に響くホールトーンに支えられ、オーケストラと独唱のステージレイアウトは適正に配置され、音質、ダイナミックレンジなど、全ての項目で最高品質の内容に仕上がっている。見事なバランスでまとめられた、歴史に残るオーケストラサウンドであると評価できる。 ただ、オーケストラのバランス、ボリュウム感に比べると独唱の扱いがオンマイク気味になっているが、マルチchでの音像空間の中では、こうした人工的なバランスも違和感を抱くことなく受け入れられると思われる。 ワーグナーの名作をハイライトで聴かせるこのアルバムは、サントリーホールでのライヴ・レコーディングであり、テイクを継ぎはぎしたような白々しさはない。一期一会の緊迫したアンサンブルを聴き取ることができる。東京都交響楽団の金管群は、日本人であるがゆえのパワー不足は否めないが、それでも、ヨーロッパーのオーケストラを思わせるしなやかさや揺れ動く呼吸のようなものが感じられ、ワーグナーの巨大な世界観を見事に再現しているのが素晴らしい。 40年前にカルショーが世に問うた「指環」のリリースは、今でもオーディオマニアの欠かせない音源となっているが、この「指環」は、指揮者の飯守のライフワークの成功と共に、フォンテックレーベルにとっても世界に問うことのできる、最新テクノロジーの勝利宣言といっても過言ではないだろう。 |
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世界遺産級 |