文化財級 交響曲
作曲家 レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ
曲名 交響曲第3番「田園交響曲」
指揮 エイドリアン・ボールト
演奏 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
独唱 Sp.マーガレット・プライス
録音 1968.2 ロンドン・キングスウェイ・ホール
プロデューサー クリストファー・ビショップ
エンジニア クリストファー・パーカー
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.4
商品番号:5739242 EMI ステレオ
解説
一貫して、静謐で穏やかな楽曲であり、オーケストラは室内楽的な響きを奏で続ける。田園交響曲と謳われている様に、牧歌的なフレーズが木管や弦楽器によってゆったりと歌われる。
録音は、そうした静かな楽曲を豊な空間表現でたっぷりと捉えている。時折Tuttiのffも聴こえては来るが、基本的にはmfレベルの音響を意識したダイナミックレンジとなっている。
ホールの豊な残響を巧みに生かし、オーケストラは左右の広がりに加え、奥行感も申し分なく捉えられている。天井の高い広々としたキングスウェイ・ホールの優位性を計算した、エンジニアの良識を伺わせる仕上がりとなっている。ホールで聴く実物大のオーケストラが眼前に再現されるようである。
音質面は時代相応だが、オーディオ鑑賞上のストレスはほとんど無い。ソプラノ独唱も、オーケストラの中で自然に溶け込み、神秘的な響きで見事に定位している。
音楽学者のコンスタン・ランバートによるこの曲の評価は「この曲は多くのイギリス批評家にとって近年の傑作の一つとなっている。しかしこの作品ほど外国で理解と賞賛を与えられなかった作品も少なくないだろう。この場合、音楽は国際的な言語であることを証明するどころか、イギリスの地方方言に元ずく小説の翻訳よりも外国人の心情に対して一層理解しにくい作品を生んだのである」という内容である。
しかし、意外にもこの曲は現代日本人の我々に、少なからず感動と安らぎを与えてくれることも事実である。
文化財級