愛蔵盤級 管弦楽曲
作曲家 デビッド・デル・トレディチ
曲名 オーケストラのためのステップス
指揮 ズビン・メータ
演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック
録音 1990.3.10 エイブリー・フィッシャー・ホール
プロデューサー エリザベス・オストロウ
エンジニア ジョン・ニュートン
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.4
商品番号:80390−2 ニューワールド・レコーズ  ステレオ
解説
ホールトーンは程よい広がりを確保して豊かな響きを作り上げているが、会場の雰囲気を伝えるオーディエンスは少々抑え気味である。マイクの特性であろうか、音の一つ一つが細身でドライな響きとなっている。
ステージレイアウトは申し分ない仕上がりである。オーケストラは過度にステレオ感を強調しているわけではないが、十分に空間的な広がりを得て実物大の音像を表現している。
リアリティは自然で過不足のない内容である。息を呑むような生々しさとは言えないが、それでも実態感のある明瞭な雰囲気を伝えている。
クオリティやダイナミックスは、デジタルスペックの高品質なレベルであり問題ない。

デイヴィッド・デル・トレディチは1937年にカリフォルニア州クローヴァーデイル に生まれたアメリカの作曲家である。
「アリスもの」と呼ばれる連作によって、明快な調性感とポピュラー音楽のリズムに影響された伝統的な作品を発表していて、ネオロマンティストとなどと呼ばれている。
音列技法を修得したにもかかわらず、新ロマン主義音楽の粘り強い支持者の一人であり、現代音楽に調性を復活させることを望んで、調性に根付いた作曲を行なっている。
詳しくは公式サイトを参照してほしい。
http://www.daviddeltredici.com/

各項目は平均以上の評価を得ているが、何よりもこのレーベルの魅力はオーケストラ音像への偏りのないアプローチである。自然で意図的でない音像表現は、エンジニアやプロデューサーの高い見識の現れであり、オーディオ愛好家にとっても良い「教材」となる録音を提供してくれている。
決してメージャーレーベルと言えない存在ではあるが、学術的にも価値のある楽曲を積極的に世に送り出す姿勢は、
それだけでも文化遺産としての評価を与えられる業績なのである。

愛蔵盤級