文化財級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:427647−2 | グラモフォン ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
ライヴセッションにおけるマルチマイクによる録音である。この手法での録音では、必ずホールトーンの中の空気感が失われ、それが原因で実存感が低下する。実況録音との違いは、客席の気配などをノイズとして削除することにあり、これがリアリティそのものを失う結果につながるのである。こうした結果を嫌うのであれば、客を入れない純粋な録音セッションを組めばよいのだが、経費の問題であろう、最近はほとんどがライヴセッションである。 こうした潮流の先駆けとなったのが、グラモフォンにおけるバーンスタインの録音である。70年代後半にベートーヴェン全集を手がけたことを皮切りに、その一期一会の燃焼を「生きた音楽」としてリリースすることが始まった。アナログ録音の技術も最高水準にあり、マイクアレンジと編集によって、ライヴであることのリスクはほとんどないと判断された。そして何より、演奏者が聴衆を前に「本番」を演じられるということがメリットとされた。しかし、ライヴとはいえ、そのテイクはリハーサルを含め何通りも収録され、1曲に7日分ものテイクをつぎはぎしてまとめたものもある。これが「生きた音楽」であるかどうか疑わしく、またホールそのものの空気感も削除されていることを考えると、真に迫ったあるがままのオーケストラ再生がいかに難しい技術であるかが判る。マルチマイクでも実況録音であればこうした不自然さは感じないだろう。 さて、バーンスタインとウィーンPoによるシベリウスのこの録音は、音像を広くとった雄大なオーケストライメージが展開する。低域までよく伸びた安定した仕上がりで、実際のオーケストラの響きとは異なるとはいえ、オーディオソースとして聴き応えのある録音である。 5番は、各楽器の定位を中心に集めた自然な音像表現で、それぞれの音の質感も良好である。金管楽器、特にトランペットが華やかに突き上げてくる様は、ホールで得られる高揚感を与えてくれる。トータルバランスの優れた高品位な録音であると評価できる。 7番も総合的な印象は変わらないが、収録されているホールが違うため、そうした環境の影響が音像表現にも現れている。金管セクションが中心に固まって捉えられているため、分離は良いとは言えないが、響きが拡散せずにまとまりよく仕上がっている。 |
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文化財級 |