文化財級 協奏曲
作曲家 ディミートリー・ショスタコーヴィッチ
曲名 ヴァイオリン協奏曲
指揮 アンドレ・プレヴィン
演奏 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
Vin.ヴィクトリア・ムローヴァ
録音 1988.6  ロンドン
プロデューサー エリック・スミス
エンジニア ウィルヘルム・ヘルウェッグ Wilhelm Hellweg
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点
商品番号:422 364−2 フィリップス  ステレオ 
解説
ソロ・ヴァイオリンを音像の中心に定位させたコンチェルトの王道を行くような表現であるが、ソロもオーケストラも充分にホールトーンを含み、曖昧なところのない明瞭な音像が空気感と共に捉えられている。ソロとオケの音量的なバランスは、ある意味オーディオ的なまとめ方であると言えるが、それ自体が違和感を与えるものにはなっていない。
伴奏するオーケストラは、シンフォニックな存在感を示しながら腰のある重心の低い音像で捉えられていて、協奏曲とはいえ雰囲気に流されない、エンジニアの確固たる主張を聴き取ることができる。中でも、3楽章のパッサカリアでは、重量感のあるオーケストラサウンドが展開し、静謐なソロ・ヴァイオリンとのコントラストを鮮明に描くことに成功している。
ここに聴くムローヴァのヴァイオリンは、肉厚で濃厚な男性的な音がする。熱く刺すような鋭い奏法は、ショスタコーヴィッチの曲想ともよく合っていて、無機質で機械的なスコアの中から、ほとばしるエネルギーを読み取っている。
文化財級