文化財級 交響曲
作曲家 ディミトリー・ショスタコーヴィチ
曲名 交響曲第7番 ハ長調「レニングラード」
指揮 レナード・バーンスタイン
演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック
録音 1962.10.23  フィルハーモニック・ホール
プロデューサー ジョン・マックルーア
エンジニア
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト 10
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.6
商品番号:SMK 47616 ソニー(CBS)  ステレオ 
解説
曲の冒頭、弦楽器による主題の提示部を聴いて、その音の良さに身構えてしまうほどだった。1962年という時代的な古さは全く感じることはなく、テープの保存状態が良かったのか、リマルタリングガ効いたのかは分からないが、ストレスなく音楽に入り込むことのできる高品位な録音である。
一方、ステージレイアウトも類稀な完成度を示していて、大編成のオーケストラを広々としたステレオ感の中で明瞭に定位させている。ステージ一杯に配置されたであろう各楽器は、それぞれ空気感も適度に捉えられ、分離と見通しの良い音像表現を得ている。
しかし、ダイナミックレンジにおいては、さほど評価できる内容ではない。こうした所に、このレーベルの音作りの方向性を感じるのだが、当時のレコード再生のダイナミックレンジを考えれば、むしろ制作側である程度の抑制が働いたとしてもやむを得ないのではないだろうか。1楽章の長大な「戦争の主題」が徐々に高まり、最強奏でオーケストラが鳴り渡る迫力など、この曲の聴かせどころで、どうしても頭打ちとなり不満が残ってしまう。この曲のステレオ録音としては世界初のリリースであったと記憶しているが、技術的な不足を承知した上で果敢に制作した当時のスタッフたちの気迫は充分に伝わってくる。眼前に迫り来るような赤裸々なリアリティは表現されていないが、この曲の雰囲気に合った、音の一つ一つを克明に捉えたクオリティの高い仕上がりであることには間違いない。
文化財級