世界遺産級 交響曲
作曲家 ディミートリー・ショスタコーヴィチ
曲名 交響曲第13番 変ロ短調「バビ・ヤール」
指揮 ベルナルト・ハイティンク
演奏 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音 1984年 アムステルダム・コンセルトヘボウ
プロデューサー アンドリュウ・コーナル Andrew Cornall
エンジニア コリン・モーフォート  Collin Moorfoot
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ 10
ダイナミックス 10
平均点 9.4
商品番号:475−7413 デッカ  ステレオ
解説
良くできたデジタル録音である。全ての評価項目において、デッカのサウンド哲学が見事に具現化した最高品質のオーケストラ表現となっている。デジタル録音の技術的経験値が高まり、それぞれのレーベルがアナログ時代の個性を取り戻し始めた頃の成功例だと言える。合唱と独唱を含んだ大規模な編成の楽曲であるが、各セクションが明瞭に定位し、見事な統一感を示している。
ホールトーンは会場の雰囲気を伝えるような生々しいものではないが、オーケストラが空間に放出する音の広がりを、余裕をもって豊かに捉えている。各楽器の残響成分により、ホールの空気感と空間の大きさを聴き取ることができる。Tuttiでのffのダイナミズムも、この広がりの中で音像がぶれたり曖昧になることはなく、どこまでも懐が深く伸びやかである。
ステージレイアウトは、各楽器が見通しよく見事な音像で定位している。ステージ上のオーケストラが実物大で捉えられている。合唱とオーケストラが一つの塊となってホール一杯に描かれる様は、リスニングルームでノケゾルほどの迫力である。
室内楽的なmpからド迫力の音響の炸裂まで、この録音が捉えたオーケストラ音像は、エンジニアの良識と技術が見事に結実した素晴らしい仕上がりと成っている。客のいないホールの利点を充分に生かした、スタジオセッションならではの完成度と言える。この録音は全集のアルバムの中の一枚であるが、15曲中の最高位であると評価した。
世界遺産級