愛蔵盤級 管弦楽曲
作曲家 アレクサンドル・スクリャービン
曲名 「法悦の詩」
指揮 ジュゼッペ・シノーポリ
演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック
録音 1988.1 マンハッタン・センター
プロデューサー ウォルフガング・シュテンゲル
エンジニア クラウス・ヒーマン
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.6
商品番号:FOOG 20397 グラモフォン  ステレオ
解説
マンハッタンセンターでの余裕たっぷりな安定した録音である。マルチマイクによる明瞭な音像は、グラモフォンならではのリアリティであるが、それが生々しい実存感に繋がらず、ミキシングによって造られた人工的な響きから抜け出せないのが残念である。しかし、そうしたレーベル固有の事情を除けば、この録音のクオリティはオーディオ的な欲求を十分に満たしてくれる内容になっている。
雰囲気のよいホールトーンは、オーケストラを豊に包み込んでおり、ステージレイアウトも曖昧にならず的確に配置されている。又、音質面ではppからffまでTuttiが力不足になることはなく、ダイナミックレンジの広い、伸びやかなオーケストラサウンドが展開している。ニューヨーク・フィルハーモニックの最大級のffを一切の力みの無い安定した音像で捉えた、見事な仕上がりであると評価できる。
ただ、オーケストラが余裕綽々の演奏を聴かせているのと同じように、この録音からもほとばしるような熱いエネルギーは感じられず、そうした刺激の無い小奇麗さが物足りなさにつながるのかもしれない。
愛蔵盤級