1970年代後半から80年代にかけてのウィーンPoは、グラモフォンでムジーク・フェラインザールでのLive録音を積極的に行なっていた。バーンスタインによるベートーヴェン全集やブラームス全集は今もなお「名盤」のカタログから消えることは無い。一方、同時期にゾフィエンザールでのスタジオセッションにおいて録音されたこの全集は、先のDGとのLiveと比べると格段に良い仕上がりとなっている。Liveとは名ばかりの継ぎはぎだらけの生気のない録音とは一線を画する、時間を掛けてじっくりとまとめられた安定感のある録音に仕上げられている。
この全集は、1番と4番が76年のアナログ録音で、2番と3番が80年、81年のデジタル録音である。アナログ技術の総決算的な録音とデジタル技術の黎明期の録音を比べると、やはりアナログの音像表現に隙の無い完成度を聴き取ることができる。技術の進歩と表現力の進歩が一致しない、録音芸術のジレンマがここに存在する。
1番と4番はずっしりと腰のある肉付きのいい音像表現であり、弦の艶やかな音色が気持ちよく響く。デジタルの2番は音像がやや小振りとなりダイナミックレンジが狭く感じられるが、反面、それが実際のオーケストライメージを彷彿とさせる演出に貢献しているとも言える。
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