愛蔵盤級 管弦楽曲
作曲家 エサ・ペッカ・サロネン
曲名 オーケストラのための「異物」 ほか
指揮 エサ・ペッカ・サロネン
演奏 フィンランド放送交響楽団
録音 2004.9 ヘルシンキ・Kulttuuritalo
プロデューサー Sid McLauchlan
エンジニア ライナー・メイラード
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ 10
ダイナミックス
平均点 8.8
商品番号:002894775375 グラモフォン ステレオ
解説
録音は、うまく創り上げられたハウスメーカーの一戸建て、と言った所か。
変な表現だが、いわゆる職人の手による注文住宅ではなく、決められた規格の中で正確に組み立てられたプレハブ住宅の様な物である。21世紀に到達したデジタル録音の一つの姿だとも言えるが、味わいなどという「感覚」には何も訴えてこない寂しさがある。
ホールトーンは会場のオーディエンスはまったく感じないが、雄大で奥深いアンビエンスがオーケストラをダイナミックに包み込んでいる。
ステージレイアウトは左右へのステレオ感はそれほど強調されていないが、中央へのまとまりと各セクションの有機的なつながりを丁寧に構築している。
奏者の息遣いを感じるようなリアリティはまったく期待できないが、一点の曇りのない、透明感のある見通しの良い音像は、オーディオソースとしての魅力の一つでもある。
音質面やダイナミックスは最高品質の評価を与えられる。一つ一つの音の鮮明度は、さすがマルチマイクでの多重録音である。

20世紀中盤のアナログ録音を「職人」の個人技であったとするならば、この時代の録音は、技ではなく仕事であると割り切ったほうが良い。
映像の世界がCGによって仮想の現実が「生」であるかのような錯覚を与えられるように、録音の世界も同様の技術によって「生」っぽく演出することは容易である。
しかし、本物の「味」を知っているものであれば、こうした録音に賞賛を贈るような愚行は決してないはずである。
愛蔵盤級