文化財級 協奏曲
作曲家 カミーユ・サン=サーンス
曲名 序奏とロンドカプリチオーソ
指揮 レナード・バーンスタイン
演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック
Vin.ジノ・フランチェスカッティ
録音 1964.1.6  マンハッタン・センター
プロデューサー ジョン・マックルーア
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.4
商品番号:SMK47608 ソニー(CBS) ステレオ 
解説
オーケストラメンバーの気配、そしてエンジニアたちの気配など、会場となったマンハッタン・センターの、その場に漂う様々な空気感が生々しく捉えられている。こうした気配は本来の音楽とは無縁のものであり、商業的にはノイズとして忌み嫌われて来たものである。しかし、この気配こそが、その場所と時間の瞬間を捉えた記録であり、こうしたリアリティのある空気感があって初めて音楽自体も生き生きとよみがえってくるのである。
フランチェスカッティのソロは、幾分細身で華奢な響きであるが、彼の美質を見事に捉えた録音であり、オーケストラの豊な響きに支えられて優雅に歌う。オーケストラのステージレイアウトは、ソロヴァイオリンを挟んで左右一杯に広がり、悠々と展開する。Tuttiでの音質に硬さを感じるのは否めないが、曲の持つ静謐な雰囲気を損なうものではなく、むしろ弱音を丁寧に捉えた積極的な録音と評価できる。伴奏とソロの音量的なバランスも適正であり、協奏曲的な音像というよりも、交響楽的な、まとまりのあるオーケストラ表現に仕上がっている。
同日に行なわれた録音では、ショーソンの「詩曲」やラヴェルの「ツィガーヌ」があり、いずれも素晴らしい仕上がりである。アルバムのリミックスはエンジニアが違うため、若干雰囲気には違いがあるが、試聴上のマイナス要因とはなっていない。
なお、この同じ日にバーンスタインはリゲティの「アトモスフェール」を録音している。一日に録音されるテイクの多さにも驚かされるが、組み合わされる楽曲の多彩さも驚異的なものがある。
文化財級