文化財級 交響曲
作曲家 カミーユ・サン=サーンス
曲名 交響曲第3番ハ短調「オルガン」
指揮 小林研一郎
演奏 名古屋フィルハーモニー交響楽団
録音 1998.7.20  サントリー・ホール
プロデューサー 江崎友淑
エンジニア 江崎友淑
その他 Live
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ 10
ダイナミックス
平均点
商品番号:PRCG−1007 G.フェイス ステレオ HDCD 
解説
ホールトーンとオーケストライメージが適正なバランスで捉えられた最高品位の音像表現に仕上がっている。
ライヴ録音ということもあり、過剰な編集・継ぎはぎのない生々しいリアリティを聴かせてくれる。実況録音を前面に出したリリースのため、エンジニアも客席の気配を嫌ったり、ホール全体のノイズ感を嫌ったりせず、マイクが拾った充分な情報量を背景に、見事な空間を描いている。マイクアレンジも各楽器を適正な距離を置いて狙ったもので、音像が大きく感じられたり、セクション間のバランスを崩すようなこともない。
ハイクオリティなデジタル録音によって音質面でもきわめて高い完成度を示している。オーケストラは透明感のある見通しの良い響きに包まれ、左右への自然な広がり具合も好感が持てる。
曲の核となるオルガンの処理も、オーケストラとのバランスを崩すことなく、存在感のある音像処理である。特に1楽章後半のアダージョでのオルガンは、ささやかな静けさを保ちながらも、その楽器の持つ巨大な重量感を余すところなく伝えている。
激しさを増す2楽章もTuttiが余裕を持って捉えられており、オーケストラの金管群とオルガンのffが分離良く眼前に迫ってくる。ただ、オーケストライメージの思い込みからくる弦セクションの強調感があることも確かで、こうした面が若干のマイナス評価となっている。
ホールトーンがここまで生々しく捉えられたのは、やはり日本の聴衆の行儀の良さにも拠るのだろう。
文化財級