文化財級 管弦楽曲
作曲家 オットリーノ・レスピーギ
曲名 交響詩「ローマの松」 交響詩「ローマの祭り」
指揮 レナード・バーンスタイン
演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック
録音 1970.2.17 フィルハーモニック・ホール
プロデューサー トーマス・Z・シェパード
エンジニア
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 7.6
商品番号:SMK 60174 ソニー(CBS) ステレオ 
解説
ホールトーンをほとんど感じることのできない録音だが、マイクを楽器の近くでセッティングし、音を一つ一つ克明に捉えようと試みられている。マルチマイクによって曖昧さを排除した録音である。
[ローマの松]冒頭はフルオーケストラのダイナミックレンジに耐えられなく、音像が飽和し、耳障りな音になってしまっているが、2曲目の「カタコンベ付近の松」などは、懐の深い伸びやかな低音を捉えている。オーケストラがクレッシェンドすると音の圧縮が顕著になるが、当時のオーディオ再生(レコードのひずみ)からすると、こうした圧縮は避けられなかったはずだ。この録音は、オーケストラの華やかな曲想を楽しむというよりは、静かな曲想の中に、エンジニアのチャレンジ精神を聴き取ることにある。
オーディオ愛好家の台頭により、この時代、各レーベルは様々な実験を繰り返し、失敗している。4チャンネル再生などは最たるもので、現在2チャンネルで再販されても、聴くに堪えない代物である。そうした時代の中にあって、正攻法でオーケストラと向き合った意義深い録音である。
カップリングの「ローマの祭り」はこの録音の3年前に行なわれている。「松」に比べると積極性は弱いが、その分、まとまりがよいといえる。この録音は、ここで特に触れるレベルには達していない。しかし演奏は破天荒で面白い。まさにお祭り騒ぎを楽しむことができる。
文化財級