愛蔵盤級 管弦楽曲
作曲家 モーリス・ラヴェル
曲名 バレエ音楽「ダフニスとクロエ」
指揮 レナード・バーンスタイン
演奏 ニューヨーク・フィルハーモニック
Schola Cantorum
録音 1961.3.13  マンハッタン・センター
プロデューサー ジョン・マックルーア
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 7.8
商品番号:SMK 47604 ソニー(CBS) ステレオ
解説
合唱を含む大規模なバレエ音楽である。曲の冒頭、神秘的な聖なる森の風景が描かれる。録音は1961年とステレオ初期のものであるが、テープノイズもなく、保存状態の良い音質を聴かせてくれる。
静寂さの中で空間的な広がりを感じる良好なステージレイアウトであり、オーケストラがTuttiでffになっても各楽器の定位や音像が曖昧になることはない。幕開けのffで合唱が加わると、オーケストラは一気にダイナミックレンジが拡大するが、ここでの空間処理には若干窮屈感が出てしまう。pでの室内楽的な曲想をクリアに捉えようとしたミキシングのため、オーケストラのffでは音量が飽和した状態になってしまうのである。合唱まで含めた拡大されたオーケストラ空間を表現するため、エンジニアはオーケストラを距離感のある音像で捉えているが、細部のリアリティは失っておらず、各楽器の実存感も充分に確保されている。
各セクションは程よく距離を置いているため、オーケストラの全体像は広々とした空間を伴って描かれている。更に合唱が背後に配置されているため、左右への広がりだけではなく、奥行や上下方向への広がりも狙っている。しかし、合唱とオーケストラのバランスを意識したため、オーケストラの空間規模は通常の編成に比べて平坦な印象を持ってしまうことは否めない。
ダイナミックレンジは広いとは言えないが、合唱の声の処理は素晴らしく、この曲の神秘性を支える弱音時の声の美しさは特筆すべき仕上がりである。有名な「日の出」のシーンは、オーケストラの静寂さを見事に捉え、バーンスタインのたっぷりと歌う指揮と、ストリングスが歌う表現、合唱の空間を描く声が一つになり、感動的な世界観を構築していく。
愛蔵盤級