文化財級 | 管弦楽曲 | ||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:82876−61389−2 | RCA(BMG) SACD ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||
1954年というステレオ最初期の録音であるにもかかわらず、最新のデジタルレコーディングと比較しても格段にクオリティが高いという奇跡の録音である。SACDでのハイブリッド盤は、マスターテープにどこまで肉薄しているか分からないが、少なくともこのディスクから聴こえてくる音は、半世紀という時間の経過などまったく感じさせない。 曲の冒頭、低弦とホルンが押し上げるように奏する「英雄の主題」から、オーケストラは重心の低い腰の据わったサウンドを展開する。床を揺るがすように鳴り響くチェロやコントラバスは、まさにステージ上の指揮者の耳に伝わってくる音である。このように低音楽器が豊に鳴ることで、オーケストラの土台が作られるのである。たった2本のマイクで、フルオーケストラがこれほどクリアに録音できるということを、エンジニアたちは改めて認識せねばならない。 オーケストラがTuttiでffに達すると、突如静寂に転じ、「英雄の敵」が現れる。ここでフルートとオーボエがソロで細かなパッセージを奏するのだが、この木管の音がこれほど生々しく捉えられた録音はないだろう。続く「英雄の伴侶」では、ソロヴァイオリンが優美に妻となるべき女性を奏でる。このヴァイオリンはこの上なく美しく、倍音成分の空気感までも聴くことができる。 この曲のクライマックスである「戦場での英雄」は、打楽器と金管群による戦闘音楽であるが、オーケストラの音像が不明瞭になることはなく、定位も曖昧にならず的確である。ダイナミックレンジは、デジタルレコーディングをも凌駕するのではないかと思えるほど広く、ffで音が圧縮されたりつぶれたりすることもない。 ステレオ録音がまだ実験的に行なわれていた当時、既にこれほどのリアリティを記録していたとは驚愕である。技術的には、ステレオ録音機が開発されておらず、モノラル録音機を2台用意して、そこに左右の音成分を収めていたという。モノラル録音は、リチャード・モアとルイス・レイトンのコンビが行い、こちらが正式発売されていた。ステレオはあくまで実験的な収録で、まさに商業用録音のプレミエでもあったのである。RCAでは56年から3ch録音を開始しているのだが、それ以前にこれほどの高音質のステレオ録音が実現していたことに驚きを隠せない。 同時に収録されている「ツァラ」は、この二日後の録音であるが、印象が幾分違う。テープの保存状態によるのだろうか、こちらはクオリティに若干不満を感じる。 |
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文化財級 |