愛蔵盤級 管弦楽曲
作曲家 リヒャルト・シュトラウス
曲名 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
指揮 ヘルベルト・ブロムシュテット
演奏 ドレスデン・シュターツカペレ
録音 1987.6.26 ドレスデン・ルカ協会
プロデューサー 馬場 敬
エンジニア クラウス・シュトリ−ベン
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.6
商品番号:433416−2 デッカ ステレオ
解説
伸びやかで奥行のあるホールトーンが好ましい。オーケストラの全体像を大きなサウンドステージで雄大に描いた、自然で実物大の音像表現である。低域から高域までストレス無くつながる深みのある音像は、シームレスなピラミッドバランスを構築している。ドイツ的、という表現がしっくりくるオーソドックスで安定感のあるオーケストライメージである。
眼前に迫り来る生々しさは無いが、マイクセッティングに拠って捉えられた音響空間が見事なライヴ感を演出している。コンサートホールの客席でオーケストラの響きに身をゆだねていられるような安らぎを導いてくれる。
ffでのTuttiでも高圧的になることはなく、音像はどこまでも優しく透明感がある。ホールトーンは教会での録音らしく、奥行と天井方向への広がりが意識できる。豊かな残響成分がオーケストラに空間的な余裕を与えている。
ステージレイアウトは自由なマイクアレンジで、ステレオ的な広がりを充分に確保している。また、各セクションの前後関係までも明瞭に伝えている。
音質は申し分なくダイナミックレンジも時代相応である。ただ、リアリティにおいては、自然であるがためにオーディオ的な刺激や迫力に欠けるともいえる。しかし、そうした録音はどこにでもある中道的なもので、やはり次の時代にも残っていく録音であるためには、製作者のゆるぎない主張と信念が貫かれていなければ成らないのである。
この曲に使用されるオルガンは別録りである。ベルリンのシャウスピールハウスでの録音と記載されている。オーディオ的にも人気のある曲だけに録音は数多いが、意外にもオルガンの別録りは頻繁に行なわれている。カラヤンがゾフィエンザールで録音したものや、同じくマゼールが録音したもの、シノーポリがマンハッタン・センターで録音したものなど、会場にオルガンがない場合は多い。こうしたダビングされた音でも、人間の耳は簡単にだまされてしまうのである。
愛蔵盤級