文化財級 管弦楽曲
作曲家 リヒャルト・シュトラウス
曲名 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
指揮 ウィリアム・スタインバーグ
演奏 ボストン交響楽団
録音 1971.3  ボストン・シンフォニー・ホール
プロデューサー ハンス・ウェーバー
エンジニア ギュンター・ヘルマンス
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点
商品番号:463 627−2 グラモフォン ステレオ 
解説
ダイナミックレンジの限界に挑戦し、破綻寸前で持ちこたえたような録音である。この曲の持つ壮大な空間イメージをヴィルトゥオーゾのオーケストラを使って果敢に表現しようとしている。優秀なホールに優秀なオケが鳴り響き、これをワイドレンジに捉えようとしていることが分かる。
エンジニアのヘルマンスは、カラヤンの専属エンジニアで、レコードによるカラヤン・ベルリンPoの音を作り上げてきた。しかしこの録音では、それとは違う方向性を示し、ドイツではなくアメリカであるということを意図的に演出しているようにも聴こえる。これはエンジニアの嗜好であり、指揮者が望んだ音ではないのだろうと考察した。
サウンドは、アナログのダイナミックレンジぎりぎりのところまで広げられ、曲の冒頭では、ffで音が硬くなり耳障りに感じるほどである。しかし、エンジニアが新天地を求めて果敢に挑んだ録音だと理解すれば、この音像表現には共感できる。映画「2001年宇宙の旅」を意識せずには演奏できなくなった70年代。その最初期に一つの録音スタイルを示したパイロット版といえるのではないだろうか。
文化財級