文化財級 協奏曲
作曲家 フランシス・プーランク
曲名 オルガン協奏曲
指揮 シャルル・デュトワ
演奏 フィルハーモニア管弦楽団
Org.Peter Hurford
録音 1992.9 St Albans Cathedral
プロデューサー パウル・マイヤース Paul Myers
エンジニア ジョン・ダンケリー John Dunkerley
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.6
商品番号:475 7728 デッカ  ステレオ 
解説
目の覚めるようなオルガンの一撃でこの曲は始まる。馴染みの無い曲ではあるが、壮麗で優美なオルガンとダイナミックなオーケストラの競演は、一度は体験しておきたい貴重な音楽である。
オルガンを起用したオーケストラ曲は数多くあるが、オルガンがメインとなる協奏曲となると数は限られてくる。オルガンは元来教会と一体化したものであり、コンサートホールにおいても、楽器の特徴はホールの特徴と切り離しては論じられない。録音においても、この楽器をいかに捉えるかは、ホールとの調整をどのようにバランスするかに掛ってくる。マイクセッティングにしても、一つの楽器として近接的に狙うのか、ホールの響きとして遠景で狙うのかは悩むところだろう。
この録音では、オルガンは余り多くの残響を含まず、程よい距離感で明確に捉えられている。オーケストラを伴奏に従えての協奏曲ということの必然性を感じさせる仕上がりである。
反面、奏者の息遣いを感じさせるような生々しさや空気感は薄く、音像は明瞭であってもリアリティは平均的である。それでも、最高品質の録音であることは確かであり、伸びやかなダイナミックレンジに支えられてTuttiでも一切のブレや濁りはない。壮大な音像で聴く者を圧倒させる迫力は素晴らしい。
アルバムのメインとなっているサン=サーンスの「オルガン」は、録音年代もデジタル初期ということもあり、迫力や音像への食い込みは今一歩である。良質なオーケストラサウンドを楽しめるが、それ以上の収穫はない。ただ、この音源に関して、著者はアナログレコード(国内重量盤)を所有しているが、こちらは迫力満点の重量級の音像が楽しめる。弦楽器の繊細な響きから、オルガンの床をも唸らせる重低音まで、お腹にズンと響く音の力は感動的である。CDだから迫力がない、とは言いたくないが、どちらがオリジナルテープに近いのかと考えると、この違いは納得しがたい結果である。
文化財級