文化財級 | 管弦楽曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:AVCL−25509 | エイヴェックス ステレオ DSD | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
澄み切った透明感が印象的な最新のDSD録音である。佐渡とN響の久々の共演ということも話題になったコンサートの、ライヴレコーディングである。ホールトーンは、このホールの良く響くステージの雰囲気を充分に伝えている。また、行儀の良い聴衆にも助けられ、ゆとりを持ってホール全体の気配や残響を捉えることができている。一方、ステージレイアウトも、弦セクション、管セクションの音像処理がバランスよくまとめられており、各楽器の定位も明瞭である。 マルチ再生を目的とした録音であるため、2chでの再生だと、エンジニアの狙った空間表現から外れてしまい曖昧な音像に聴こえてしまうことが多い。しかし、この録音ではそうした違和感は少なく、自然なオーケストラサウンドとして評価できた。 ただ、ステージの奥行への配慮には欠けていて、各楽器の音量的なバランスや距離感といった深みを描く部分には問題が残る。また、時折機械的に操作された音圧処理(ボリュウム感)が認識されてしまい、それがライヴならではの生々しさを弱めてしまっている。 透明度の高い音像ではあるが、そこに聴かれる実存感は充分なものとは言いがたい。やはりマルチchによる弊害なのだろうか。しかし、ホールで感じる空気感や空間的な広がりというものは2chでは再現不可能なのである。一般的なリスニングルームで、ステージから放射されるオーケストラの音響を体現するためには、やはりマルチ再生にゆだねるしかないのである。エンジニアにもリスナーにも、まだまだノウハウがない中で、この録音は、新しい音像表現の可能性を感じさせる、充実した仕上がりであると評価できる。 |
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文化財級 |