日本フィルハーモニー交響楽団の自主企画による映画音楽集である。Vol.1から3までが1期目、4から6までが2期目のリリースとなっている。1期目は、東京芸術劇場、アプリコ大ホール、葛飾シンフォニーヒルズなどを使い分けて、2001年から2003年に渡り、沼尻竜典と竹本泰蔵を起用してレコーディングされている。コンセプトは、無指向のマイクを使い、どの会場でも同様のセッティングを行なうことで、各々の会場のキャラクターをも聴きとってもらおうという内容である。確かに、ここに聴かれる会場の音は、それぞれが持つ響きに依存していると思われるが、かといって、実際に客席に座って感じ取っているキャラクターと同質のものであるかどうかは疑問である。
録音の仕上がりは、贅沢なスタジオセッションだけあって、ホールの残響成分を充分に含んだ豊なオーケストラ再生が描かれている。ステージレイアウトも、5本の無指向性マイクによって適正に捉えられていて、実存感やダイナミックレンジも過不足のない仕上がりであると評価できる。どのホールでの録音も評価はおおむね同じであるが、耳に届く印象は随分違いがあり、オーディオソースとしてのサンプル的価値はとても高いものと言える。 |