文化財級 サウンドトラック
作曲家 ラロ・シフリン
曲名 ミッション・イン・ポッシブル
指揮 竹本泰蔵
演奏 日本フィルハーモニー交響楽団
録音 2004.6.30 めぐろパーシモンホール
プロデューサー Hisaaki Matsushita
エンジニア Takao Suga
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点
商品番号:KICC517 キングレコード ステレオ 
解説
日本フィルハーモニー交響楽団の自主企画による、映画音楽を集めたシリーズである。本作で6作目となり、録音面でも回を追うごとに著しい向上を見せている。東京芸術劇場や太田区民ホールなどを使用し、それぞれのホールの音の違いも楽しめるよう工夫されている。今回の会場はめぐろパーシモンホールであるが、シリーズの1作目から、録音には無指向のマイクを使用し、会場が変わってもセッティングを変えないというコンセプトで挑んでいる。そのため、個々の会場の雰囲気の違いが赤裸々に捉えられており、録音の良し悪しが会場に左右されるということ、あるいはそうならないために、どれほどの手が加えられているかという、オーケストラ録音の危うさというものを提示していると言える。
ただ、今回(Vol.4−6)の録音では、これまでの残響を意識した音像表現とは異なり、幾分ポップス指向とも言えるメリハリと明瞭感を狙った音像表現に変わっている。どちらかと言うと、各楽器を近接的に捉えた、ホールの条件に左右されにくいセッティングが採用されているように思われる。当初の企画からは若干音像表現に変化があったと考察したが、結果的には今回の音作りが最も仕上がりが良く、スクリーンとは切り離せないサウンドトラックの本質に近いものであると評価できる。
指揮を務めている竹本氏は、テレビやゲームでの音楽録音を積極的に行なう、指揮者の新しいジャンルを開拓してきた人物である。竹本氏の映画に対する見識の深さが評価されて、このシリーズのメイン指揮者として起用されている。カラヤンの招きでベルリンで研鑽を積むなど、クラシックでの力量も高く評価されているが、本人が好んで映画やミュージカルに傾倒してきたため、クラシック演奏会で名前を見かけることは少ない。渡辺美里など、ポップス系のミュージシャンとの共演も多く、最近では「ファイナルファンタジー」のコンサートや劇場版「Zガンダム」の新作レコーディングで三枝成彰の楽曲を指揮している。
文化財級