文化財級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||
商品番号:SMK 47594 | ソニー(CBS) ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||
極めて息の長いホールトーンを捉えた、伸びやかで奥深いオーケストラ音像が表現されている。このホールトーンは、マンハッタンセンターの床面を最大限に響かせて(何も手を加えなかったとも言える)、オーケストラの残響や雰囲気を演出したのだと推察できる。現在のマンハッタン・センターには絨毯が敷き詰められており、レコーディング時には床に板材を敷いて利用している。1960年代はむしろ逆の状態で、おそらくは床がむき出しの状態であったと思われる。それが故に、これほどまでの奥深い残響を捉えることができたのである。反面、Tuttiでのffでは響きが過剰気味に陥り、音質が硬くなって耳障りになっている。 しかし、オーケストラのステレオ感や奥行感を試行錯誤して表現していた当時のエンジニアたちのことを慮ると、多少の調整不足は否めないにしても、この録音のように狙いを絞って音場を表現しようとした試みには価値があり、現在でも充分にその成果を聴き取ることができる。機械的なアンビエンスに頼らずに、与えられた環境の中で、マイクアレンジによってオーケストライメージを追及した当時のエンジニアたちは、まさに日々が挑戦であったのである。 そうした意味では、この録音は決して成功したものとは言えないが、オーケストラ表現の可能性の追求とその具現化を目の当たりにすることができる、貴重な資料としても価値のあるものだと評価できる。 ホールトーンばかりを論じてしまったが、豊なホールトーンの中からは、オーケストラの奥行感や左右への広がりが確保され、そうした生き生きとした音場によって、各楽器の実存感も増してくるのである。ステージレイアウトも各音像が適正に定位しており、モーツァルトの室内楽的な編成においてはほとんど問題はないと言える。 |
|||||||||||||||||||||||||||||
文化財級 |