文化財級 | 協奏曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:417 790−2 | デッカ ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
デッカとCBSが交換条件で実現させた、バーンスタインとウィーン・フィルの共演による録音の一つである。この時、デッカにはモーツァルトの交響曲第36番「リンツ」とマーラーの「大地の歌」、CBSにはヴェルディの「ファルスタッフ」を録音している。「大地の歌」や「ファルスタッフ」は演奏・録音共に優秀な評価を得ているが、このピアノ協奏曲も同等のクオリティを得ており、充分に評価できる仕上がりとなっている。 伴奏となるオーケストラの質感にやや乏しい面を窺わせるが、録音された時代を考えれば大きな問題ではない。一方、オーケストラをイメージさせる空間表現においては、さすがと思わせる完成度があり、雄大で伸びやかな音像を捉えている。ステージレイアウトは左右に広がりのある見通しのよいまとまりで、各楽器の定位も申し分ない。ダイナミックレンジも充分な広帯域を確保しており、小編成なオーケストラがTuttiでヒステリックな響きになりがちなffにおいても、硬質にならず、柔らかく暖かなアンサンブルを伝えている。ゾフィエンザールの豊な残響にも支えられ、オーケストラは奥行のある立体的な広がりを聴かせてくれる。 ソロ・ピアノの処理も的確であり、ベーゼンドルファーの渋くて重心の低い音調を自然な音像と実存感で捉えている。ベーゼンドルファーは、バーンスタインがウィーンに敬意を表して選択した楽器だと言われており、こうしたしたたかな態度が、ウィーン・フィルのメンバーたちに好意的に受け入れられたのだという。演奏は、この曲のベスト盤としても評価に上がる内容で、バーンスタインのピアニストとしての力量もとても高いものだということが判る。 ただ、録音においては、ピアノの渋さとオーケストラの軽やかさがミスマッチに感じてしまう面もあり、全体の調和が充分ではないのが残念である。 |
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文化財級 |