愛蔵盤級 サウンドトラック
作曲家 宮川 泰 ほか
曲名 幻想軌道 松本零士45周年
指揮 宮川 泰
演奏 新日本フィルハーモニー交響楽団
録音 1998.8.15 すみたトリフォニーホール
プロデューサー 前山寛邦
エンジニア 時枝一博
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.4
商品番号:COCX−30110 コロンビア ステレオ
解説
松本零士さんの、漫画家生活45周年を記念して開かれたコンサートのライヴ録音である。
まだオープンして間がない、すみたトリフォニーホールを使用しての、ダイナミックなオーケストラ録音である。
オーケストラにはエレキギターやドラムセットも組み込まれ、ステージではボーカルやMCなども絡むため、純粋なクラシック録音と同様には評価できないが、音像表現のコンセプトは、アコースティックな響きを狙った好感のもてる内容である。多重マイクによって各楽器は明瞭に捉えられているが、ドラムなどのポップス的な楽器に対しては、幾分距離を置いた音像にとどめている。そのため、ポップスオーケストラ的な楽曲にもかかわらず、雰囲気はクラシックコンサートを思わせる仕上がりとなっている。
宇宙戦艦ヤマトを皮切りに、銀河鉄道999やキャプテンハーロックと言った、松本アニメの主要なキャラクターを交響詩的な物語構成で紹介している。
中でも聴きごたえがあるのは、ヤマトの敵として登場する「白色彗星」のパイプオルガンである。オリジナルのサウンドトラックは、武蔵野大学のパイプオルガンを3人がかりで演奏して収録したというが、ここでのコンサートでは、著名なオルガニスト鈴木隆太氏が演奏している。すみたトリフォニーホールの本格的なパイプオルガンで、ダイナミックな白色彗星を響かせている。アニメ音楽の域を超えた、パイプオルガンの名曲である。

コンサートには、作曲家宮川泰さんが自ら指揮棒をとり、軽妙な語り口でヤマト作曲の秘話を披露している。また、作詞家阿久悠さんもゲストに招かれている。お二人とも今は亡き時代の寵児であった。お二人の貴重な肉声の記録としても、このアルバムの価値は高い。

録音は、多様な音源を手堅くまとめ、コンサートホールの雰囲気を大切にした良質なライヴ録音として評価できる。

愛蔵盤級