愛蔵盤級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:443 350−2 | デッカ(London) ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
生々しさには欠けるものの、ダイナミックでパワフルなサウンドを聴かせてくれる。細部まで見通せる透明感のある音像で、Tuttiでのffでも音像が濁ったり飽和してしまうようなことはない。余裕のあるたっぷりとしたダイナミックレンジの中で、オーケストラは雄大に鳴り響く。 反面、人の気配を伝える空気感はほとんど無く、音は奇麗に聴こえてくるが実体を感じられない不安定な音像イメージである。デジタル時代の一般的な仕上げ方ではあるのだが、やはり、奏者の息遣いや楽器間の空気のつながりのようなものが無くなってしまうと、音楽の生命の部分が失われてしまうのは避けられない。文章でも「行間を読む」という言葉があるように、読者(聴き手)が自分の想像力を広がれらるような手掛かりが必要なのである。文章は活字の中から書いていない文章を感じ取ることを求められるが、録音は、演奏していない奏者も含めて、ステージ上に居るオーケストラメンバー一人一人の実存感が手掛かりとなるのである。 ホールトーンはよく響くオーケストラを表現しているが、これがホール本来の響きなのかどうかは疑わしい。ステージレイアウトは大規模なオーケストラを過度に広げることなく、リスナーから観た実物大の大きさで定位している。リアリティやダイナミックスも平均的で、オーディオソースとして不足するものはない。 しかし、迫力ある大音響が響き渡っても、何か満たされないものがあるとするならば、それこそ生の空気感なのだろう。 |
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愛蔵盤級 |