文化財級 交響曲
作曲家 チャールズ・アイヴズ
曲名 ロバート・ブロウニング序曲 ほか
指揮 Michel Swierczewski
演奏 The Gulbenkian Orchestra
録音 1991.7.25 Lisbon
プロデューサー 記載なし
エンジニア 記載なし
評価項目 評価内容
ホールトーン 10
ステージレイアウト 10
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点
商品番号:NI 5316 ニンバス ステレオ 
解説
1本のステレオマイクによって収録された、自然であるがままのオーケストラ表現に仕上がっている。楽曲の斬新さや奇抜さを、ステージ上の実際の音響に拠ってのみ捉えようとした、意欲的で実験的な音像表現である。ライナー・ノートには、録音時(「答えのない質問」「セントラルパークの夕暮れ」)の楽器配置とマイクポジションが記載されている。エンジニアの紹介はされていないが、このレーベルの目指す、一つのオーケストラ再生のあり方を窺い知ることができる。
録音は、ワンポイント収録の強みである豊なホールトーンや自然なステージレイアウトが見事に捉えられ、自分がホールにいるかの様な、同化された感覚を得ることができる。反面、生々しい実存感は満足度の高い要素ではあるものの、細部の見通しが曖昧になり、雰囲気で楽しむ音造りになっていると言わざるを得ない。ピックアップされた音像に慣れている現在のリスナーには、こうした音像表現に物足りなさを感じることは否めないだろう。
オーケストラは少し奥まったところに定位しているような距離感があり、音圧的にも迫力がいま一歩といったところである。しかし、充分なリスニング環境をもった人であれば、この音像は極めて自然な、実物大のオーケストラを体現させてくれると思われる。ダイナミックレンジも広帯域に伸びており、デフォルメされた音圧ではないものの、重量感は伝わってくるだろう。
上記の2曲以外は、大編成の管弦楽曲であるため、さすがに1本のマイクでの収録ではないと思われるが、それでもワンポイント的な手法であることには変わりなく、基本的な雰囲気は統一されている。
文化財級