文化財級 協奏曲
作曲家 ジョージ・ガーシュイン
曲名 ラプソディ・イン・ブルー
指揮 レナード・バーンスタイン
演奏 コロムビア交響楽団
Pf.レナード・バーンスタイン
録音 1959.6.23 セント・ジョージ・ホテル
プロデューサー ハワード・H・スコット
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.4
商品番号:82876 78768 2 ソニー(コロムビア)  DSD ステレオ 
解説
ようやくホームオーディオがマスターテープのリアリティに近づいたという感動に包まれる。これまでに何度もリリースされて来たこの録音であるが、今回のリマスタリングが間違いなく最高の出来だと言える。そして、この生々しい空気感と実存感こそが、エンジニアが当時聴いていたマスターテープの音なのだろう。編集によるつなぎ目のちょっとした違和感までも聴き取れるようになったのは驚異的である。最新のテクノロジーによって、たとえデジタル信号に変換されたものとは言え、原音に限りなく近づいたこの様な音を手軽に聴くことができることに、最大級の賛辞を贈り喜びたい。
音像は、目を見張る広がりで、2chステレオのフォーマット一杯にオーケストラが展開する。しかも過剰にステレオ感を強調したものではなく、リスナーがオーケストラに包み込まれるような、奏者と同じ空間に居るかの様な実感に浸ることができる。
ホールトーンは会場であるSt・ジョージ・ホテルの空間的な広がりを有効に生かし、マイクが自然に拾った反射音や残響によってゆったりとした伸びやかな音響を造り上げている。
ステージレイアウトは、この空間の広さに支えられて、各楽器が広々と雄大に定位している。各楽器の距離感や音像の捉え方も申し分なく、マイクアレンジだけで音像を追い込んだエンジニアの苦心が伺える。
また、リアリティも素晴らしく、奏者の息遣いやアンサンブルの呼吸までも伝わってくるかのようである。
一方、音質面やダイナミックレンジは時代的なリスクは否めず、50年という時の経過を考えれば驚異的な音質ではあるが、評価ポイントは幾分低くせざるを得なかった。
なお、このアルバムには1958年録音の「パリのアメリカ人」も収録されているが、同じ傾向の音像表現ではあるものの、比較すると欠点も多い。それでも、アメリカ音楽の華やかなサウンドを無条件に楽しませてくれる演奏であり、録音についてとやかく言うまでもなく、このアルバムは最高級のエンターテイメントであると評価したい。

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