愛蔵盤級 交響曲
作曲家 ヴァイサン・ダンディ
曲名 フランス山人の歌による交響曲
指揮 シャルル・デュトワ
演奏 モントリオール交響楽団
録音 1989.10 St Eustache Montreal
プロデューサー レイ・ミンシャル
エンジニア ジョン・ダンケリー
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス
平均点 8.2
商品番号:467 610−2 デッカ  ステレオ 
解説
このレーベルに期待される録音のクオリティと、デュトワ&モントリオール交響楽団が送り出す最新アルバムに求められる最低限のクオリティが、この録音にも例外なく確保されている。
特筆すべきものは少ないが、過不足のない平均的な満足が得られる内容となっている。新しいアプローチが試されることはないが、それでも多くのオーディオ愛好家が良い録音であると評価できるレベルには到達している。
ホールトーンは会場の自然な響きを捉えているとは言えないが、オーケストラの音像を豊かに響かせ、伸びやかさと奥行きへの広がりを再現できている。
ステージレイアウトは、各楽器の定位感はいま一歩であるが、オーケストラの全体像をバランスよくまとめることはできている。
音質面やダイナミックレンジは、デジタル録音による必要十分なスペックを確保している。
全体の評価は平均的であり、それ以上の魅力はないのだが、バランスの良さとデッカならではのオーディオ好みの音作りに、他のレーベルには無い誘因力があることは否めないのである。

このフランスの作曲家ダンディの作品は、レコードのカタログの中には必ず見かける名前であるが、実際に聴く機会はほとんどない。生演奏はもちろんだが、録音自体も多いとはいえないし、著者も今回初めて聴く程度である。
パリに生まれたダンディは、祖母から音楽の手ほどきを受け、パリ音楽院でフランクから作曲を学んでいる。ドイツ音楽に対抗して設立された国民音楽協会に最年少で入会したほどだが、25歳の時にバイロイトでニーベルングの指輪に接し、以後熱烈なワグネリアンとなった。
ピアノとオーケストラのために作曲された「フランス山人の歌による交響曲」は羊飼いの素朴な歌にインスピレーションを受けたと言われている。セヴェンヌの美しい山々をのぞみながら、そこで聴いた牧歌をもとに幻想曲を構想し、やがて交響曲へと着想が広がっていったとされている。
師のフランクの影響か、主題が有機的に展開する3楽章形式をとっている。しかし完成はフランクの交響曲より2年前となっている。

愛蔵盤級