文化財級 交響曲
作曲家 アーロン・コープランド
曲名 交響曲第3番 
指揮 大植英次
演奏 ミネソタ管弦楽団
録音 2000.3.26  ミネアポリス・オーケストラホール
プロデューサー タンブリン・ヘンダーソン
エンジニア ケイス・O・ジョンソン
評価項目 評価内容
ホールトーン 10
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ
ダイナミックス 10
平均点 9.4
商品番号:RR−93CD リファレンスレコーディング  ステレオ HDCD
解説
他に類のない、ある意味やみつきになる不思議なサウンドを聴かせるRRレーベルである。一貫してジョンソン博士の手によるレコーディングが行なわれている。指揮者の大植自身、このレーベルとの契約理由を「オーケストラがあるがままの雰囲気で録音されている」というものだった。聴き手側のオーディオシステムに相当のクオリティを要求し、生半可なシステムではその重量感や奥深さを聴き取ることは難しい。
コープランドの作品を集めたこのアルバムは、オーディオ的なハードルが高い反面、楽しく聴きやすい楽曲が選曲されている。交響曲のダイナミズムやオーケストラの迫力を存分に楽しめる20世紀を代表する作品である。
録音は、まずホールトーンがこの上なく素晴らしい。奥深く、空気が浸透していくような、響きに対してストレスを感じさせない独特の雰囲気を持っている。マスタリングに頼ることのない、エンジニアの確固たる主張が反映された空気感である。そうした自然な空間表現の中で、オーケストラはあるがままの実存感で伸びやかに、そして明瞭に定位している。ステージレイアウトは粒立ちの良い音像で各楽器を描き、ステレオ感と奥行感に優れたサラウンド的な広がりを成し得ている。各セクションのアンサンブルや奏者の息遣いも伝わり、客席から望むステージまでの距離感も適度に聴き取ることができる。
音像の一つ一つは幾分小振りではあるが、耳障りの良い伸びやかなTuttiを聴かせ、ffでのダイナミズムは、迫力と美しさを兼ね備えた絶妙のトーンが表現されている。超広帯域のダイナミックレンジは重低音の地響きから高音域の倍音成分まで申し分なく捉えており、その音像には濁りや圧迫感は微塵もない。まさに異次元空間と評しても言い過ぎではない、新感覚のステレオ空間なのである。
このCDはHDCDでの再生を要求している。当然HDCDでなければ上記のクオリティは再生されないので注意が必要である。
文化財級