文化財級 | 協奏曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:425 100-2 | デッカ ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
ホールトーンは過不足なく捉えられ、オーケストラを広がりのある響きで包み込んでいる。意図的に加えられたような不自然さもなく、マイクが拾った現場の自然な残響成分だと思われる。あるがままの会場の雰囲気が伝わってくる。 一方、ステージレイアウトは各楽器が近接的に狙われており、左右への広がりよりも生々しい音像のリアリティが特徴的である。客席から聴くオーケストライメージではなく、指揮者が目の前でアンサンブルを創り上げるようなイメージである。各楽器の気配が、過剰とも思えるほどの近距離から伝わってくる。そのため、それぞれの定位感は見事に決まっている。しかし、それが音楽を聴く心地よさから掛け離れたものかというとそうではなく、各楽器が持つ残響成分が絶妙にブレンドされ音像は散漫にはなっていない。また、豊に響くホールトーンを支えにして、心地よくそしてダイナミックに鳴り響く。 セクション間のつながりも流れるような美しさで、会場の空気が音像を有機的に結びつけ見事な一体感を構築している。カルショウとパリーのコンビがワーグナーで追求した録音芸術の成果を、ここでも聴き取ることができる。 独奏のチェロは、雄大にダイナミックに捉えられ、指揮者の下手に屹然と定位する。迫力のある深々としたチェロの低音がずしりと響く。また高音域の艶やかな美しさも見事に捉えられている。 音質面では時代相応のノイズやカサツキがあるが、それでもオーディオ鑑賞としてストレスを感じることは無い。また、ダイナミックレンジも音像全体がデフォルメされているため、帯域はさほど広くは無いものの迫力に不満を感じることは無いだろう。 |
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文化財級 |