文化財級 | オペラ/合唱曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:463 448−2 | グラモフォン ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
バーンスタインが1970年代に作曲したミュージカルからの改作である。 《ホワイトハウス・カンタータ》は、バーンスタインが台本作家のアラン・ジェイ・ラーナーと組んで、1972年から76年にかけて作曲したミュージカル《ペンシルヴェニア通り1600番地》を演奏会用に改作したもの。元になったミュージカル(タイトルはホワイトハウスの実在の住所を示しています)は、歴代の米大統領の居住地であるホワイトハウスを舞台に、南北戦争をはさんだ約100年間に起こった歴史上の事柄を当時の大統領が次々に登場し、トピックス的に歌い演じる内容となっている。そこには当然のことながら、人種問題や政治腐敗への辛らつな視点が盛り込まれ、風刺の効いた骨太の内容となっている。祖国アメリカの歴史を風刺的に扱った刺激的な現代のカンタータである。 クラシック、トラディショナル、ポピュラーなど、ジャンルを超えた様々な要素を融合させた音楽は、まさに“バーンスタイン”的な音楽スタイルで、ウェストサイド・ストーリーの“マリア”や“トゥナイト”を思い起こさせる抒情的な旋律もたっぷり含まれている。世界初録音となるこのディスクには、トーマス・ハンプソンをはじめとする強力な歌唱陣が参加している。バーンスタインの晩年の愛弟子の一人であったケント・ナガノが、共感溢れるタクトで全体をまとめ上げている。 ミュージカルは、バーンスタイン自身が「唯一の失敗作」と皮肉るほどに、作品の豊かなインスピレーションに比べて、ほとんど評価されることなく消え去ってしまっている。いわゆるミュージカルの枠に収まりきれなかったことが、この作品の不幸の根源といってもよい。同様に初演時に不発だった「キャンディード」が、何度も改作を重ねながら「演奏会形式」でのスタイルで作品の価値を高めたことを考えると、この曲が「カンタータ」となって世に残り、こうしてレコーディングされたことは、ある意味必然とも言えるが(商品ラインアップとして)、とてもうれしく思っている。 録音は、アビーロードスタジオを使用した、セッション録音である。大規模なホールに響く残響成分と、そこに漂う空気感が程良く調和し、伸びやかで生き生きとしたオーケストラ音像に仕上がっている。透明感もあり、音像が奥行き方向へも十分に広がっていることが好ましい。 飛びぬけて鮮烈な印象を与えるような特徴はないのだが、すべての項目で最高レベルの評価を与えることができた。一言で表せば「まとまりが良い」ということになるだろうか。 劇場型の楽曲ではあるが、オペラハウスでのステージを思わせるような音像表現ではなく、スタジオでの録音であることをメリットにしたアプローチとなっている。もともとがミュージカルであったことを考えれば、軽妙で洒落た楽曲にふさわしく、メリハリとパンチのある聴きやすい録音であると評価できる。 独唱は幾分クローズアップされた音像となっているが、バックのオーケストラが明瞭に定位しているため、アンサンブルのつながりが損なわれることはない。 オーケストラ本来のアコースティックな響きや、十分なステージレイアウトも保たれていて、この録音が一級品の仕上がりでることは疑う必要はないだろう。 音質面やダイナミックレンジも、最新のデジタルスペックの内容を十分にクリアしていて、申し分ない。 |
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文化財級 |