文化財級 | オペラ/合唱曲 | ||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:SM2K47522 | ソニー ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||
冒頭の第一音からこの録音の見通しのよさとクオリティの高さが伺える。テープノイズが暗騒音として流れているが、そうしたリスクは録音の音楽性の高さによって気になることはないだろう。1960年という時代的なマイナス面はほとんど意識されず、雄弁で広々とした音響空間が再現されている。 4人の独唱と合唱という大規模な作品であるが、この録音からは空間的に窮屈になるような行き詰まり感やダイナミックレンジの頭打ち感はまったくない。 ステージレイアウトは、オーケストラや合唱のステージ空間に対し、4人の独唱の配置が左右に広がり過ぎているが、この時代のステレオイメージからすれば多少の強調感は致し方ないと割り切れる。しかし、それ以外は大きな問題は感じられず、オーケストラと合唱の調和や融合といった捉え方は適正であり、セクション間のつながりも良く、また一つ一つの音そのものも残響成分を含んで豊に生き生きと鳴り響いている。 マンハッタンセンターの床面を使っての自由なセッションが組まれたと想像でき、広い空間を生かした効果的な録音が行なわれたようだ。ここに描かれたオーケストラ音像は、ステージ録音では捉えきれない開放感と伸びやかさがあり、深々と見通せる透明感と分離の良さは当時の高い技術力と見識の高さを窺い知ることができる。 ステレオ初期に若きバーンスタインがこの曲を選んだことからは、彼のベートーベンに対する深い畏敬の念を感じるし、スピード感のある溌剌とした演奏からも、この曲に対する屈託のない敬虔な姿勢が感じられ、そうした果敢な挑戦を、テープに見事に刻み込んだエンジニアたちの努力と技術力に拍手を贈りたい。 |
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文化財級 |