湖鏡庵の財喜坊貉


 潟上の湖鏡庵の境内に、貉の祠がある。財喜坊といい、相川町の二つ岩団三郎貉の四天王のうちに数えられている。

 この財喜坊は、寺のことは、なんでも用をたし、田地の水の番までした。

 ある晩、盗人が、寺に入り品物を盗んで帰ろうとしたが、この財喜坊の得意のたぶらかしで、道に迷い、境内を行ったり来たりしているうちに夜が明けた。そして、とうとう捕えられた

 それから、この寺では、夜になっても戸締りをしないで寝るということである。


(付記)

 この貉を、土地の人は、セイチボウと呼んでいて、財喜坊というのは、金もうけの神様だというので、こんな文字にしたという人もある。

(山本修之助編著 佐渡の伝説 より)


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