先斗町の臼大明神


 京都先斗町を四条から三条の方へ上がると、木屋町へ通りぬける路地が32本ある。

 ナンバー5の路地は「ウスの路地」という。角には、「三輪」という表札の家があり、ここを入ると路地の中程北側に「臼大明神」と刻した石が立ち、目なしの下臼が祀ってある。
 いまも参詣者が絶えない。

 井上頼寿著『京都民俗志』によると、「大津紺屋関に棲んでいた八九郎狸が住み所を失って此処の臼の内に移った。
 ご託宣によって一度に祠を営まず、漸次に築いて行くのであると云ふ。此の神は願を一つだけ聞いて呉れると伝へられてゐる。
 此の神は徳川時代から同位置にあった。(岡本橋仙氏談)」とある。

 大正15年に菱屋募兵衛、清水やす、清水八重という三人が基台部を築き、そのあとで屋根がつくられ、今日にいたっている。



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