後尾の十二神さん伝説 |
(山本修之助編著 佐渡の伝説 より) |
供物の多い方を味方する十二神さん 後尾で、石花に近い村はずれに、十二神さん(ジュウニサン)といって、狢をまつった祠がある。 むかし、牛坪にいた貉は、山伏に化けて祈祷をしていた。 ある時、悪い病気が流行したので、村の者がお願いに行くと「わしのため、何か奉納の催しをしてくれれば、願いごとをきいてやる」といわれた。さっそく村の者は草相撲を催した。そのききめがあって、村を救ってくれた。そこでここへ祠を建ててまつるようになったといわれている。 この草相撲は、それからここで長くつづいた。この十二神さんは、油あげや魚を供えてやると、その願いをかなえてくれた。この草相撲の時、隣の石花の若い衆が、後尾の若い衆より多くその好物を供えたので、勝つようになった。 それから、後尾の若い衆は、相撲の場所を、ここから石動神社の境内に移したといわれている。 疫病をはさみつぶした岩 後尾の村はずれ、石花に近い海岸に、「十二神さんの挟み岩」という二つに割れた岩がある。 むかし、疫病が、この村へ入ろうとした時、牛坪の山伏貉の十二神さんが、これを誘って、この岩にはさんで押しつぶしたといわれている。 また、コレラが流行して石花まで来たが、後尾村へは、とうとう来なかった。これは、村はずれの十二神さんがおそろしくてどうしても、後尾へは入れなかったものだといわれている。 戻る |