西尾市茶業組合 EXPO
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概要
  西尾茶の販路

 林口孝『西尾茶の経済地理学的研究』(昭和6年刊)は「西尾茶の販路」について、卸は名古屋と宇治、小売圏は碧海郡と岡崎であると記している。
当時の茶業者は、製茶場をもち小売りもする者十八軒、製茶場に加工を委託して自宅で小売する者四軒、また小売り行商に出る者は、製茶場を有する者のほとんど全部、そのほか地元で仕入れて行商に出る者が20軒と茶業者の実態をとらえている。
 茶の卸については、名古屋への出荷は碾茶が主で、煎茶や番茶の需要もある。
「名古屋地方は良茶の需要多く殊に碾茶は日本全消費高の四割を消費する故、西尾茶としては名古屋地方は大切な顧客である」とも述べている。
一方、宇治(京都府)への出荷も碾茶が主であるが、玉露も出荷している。
「茶は異なる地方の物を混合した方が品質が良くなるものであるから、宇治の商人は西尾茶を買ってこれを宇治茶と混合して宇治茶として売り出すのである」とも記している。
 明治40年代から大正初期にかけての西尾茶の販路を推測する史料として、さらに述べた県茶業組合取締所の「役員名簿」(上町杉田寛清蔵)という名刺帳の中に、「茶小売人名記」として、沢山の茶を販売する業者の名札がある。
 なかに「茶小売人名記」の商人の数を地域別にまとめたものであるが、必ずしもこれらの小売店(問屋も含む)を販路としたとは判断できない。
杉田鶴吉の個人的な関係であったのか、あるいはそれらが西尾茶の販路であったのかも明らかでないが、多くの名札は官製葉書の差出し人名の部分を切り取ったものであり、それらの裏面の通信欄には西尾茶の仕入れに関係した文面の見られるものも多い。
 役員名簿にある「茶商」は問屋と小売商で、「その他」は雑貨商や菓子屋が茶の小売りを兼ねているものである。
いずれも店あるいは事務所を構えたものばかりである。
前記『西尾茶の経済地理学的研究』の販路とは全く異なっていて、その範囲はかなり広いことが知られる。
 県外では、京都府の二店しかなく少なすぎる。
三重県に一店もないのも不思議である。
県内は合計11店であるが、名札にない取引き先が多かったとは確実である。
ましてや幡豆郡内はその全域が販路であったはずであるが、当時のおおよその販売地域が知られよう。

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