結婚対策は若者が都会に流出し、急激に人口減少している過疎地の対策事業ではなくて、実は身近なところでも考えなければならない問題にすでになっているのかもしれません。
結婚するしないは個人の自由です。まして結婚について行政が介入するのもいかがとは思います。でも、少子化が叫ばれている今、晩婚が進み、さらに生涯独身率(50歳まで結婚したことのない人の割合)も高まっているとの統計が出ている現状を見たとき、若者の結婚問題は無関心であってはならないと言うことだけははっきり言えますし、少なくとも注視していく大切な課題として受け止めなければならないと思います。
刈谷市はトヨタ関連企業が軒を並べ、全国各地から若い人たちが訪れる働くものの町です。
刈谷市の年齢別の人口統計に目をやると、注目すべき点が見えてきます。
年齢 |
男 |
女 |
合計 |
性比 |
20〜24 |
5319 |
4345 |
9664 |
1.22 |
25〜29 |
7163 |
5278 |
12441 |
1.35 |
30〜34 |
7838 |
6365 |
14199 |
1.23 |
34〜39 |
6560 |
5468 |
12028 |
1.19 |
全体 |
73998 |
62279 |
141277 |
1.18 |
結婚適齢期と思われる男女の性別構成は圧倒的に男性が多く、企業の働き手が男性労働者に偏りが見られることが見て取れます。乱暴な言い方をすると、仮に男女とも100人結婚できても、男が20〜30人は“あふれる”という人口構造になります。
ずいぶん前の話になりますが、若かりし頃青年団活動をしていた当時、渥美の農業青年に『今週、女としゃべった?』と、聞くと『ううん、おふくろだけ』なんて笑えない会話があったことを強烈な印象として覚えています。会社勤めでも夜勤や男ばかりの職場なら同様のことはどこにでもある生活の一部なのかもしれません。できる人はナンパという手もありますが、異性とうまくコミュニケーションができない人も少なくありません。
結婚事業が産業として成り立ち、一部には結婚願望につけこみ悪質な『出会い』事業を手がけるブローカーまでいます。女性の社会進出が進み、経済的に自立した女性がなかなか結婚しないのも理解できます。
『結婚できるけど、したくない女性』と『結婚したくても、できない男性』 この強烈な対比の意味するものは何かをしっかり検証しなければなりません。『出会いの場』があって『夫婦生活に堪えうる所得』があることが大切な要素のひとつかもしれません。未婚率の上昇は少子化に影響を与えるばかりでなく、近い将来の独居老人の増加を意味します。この点からも、結婚は“個人的なもの”という見方は改めたほうがいいのかもしれません。この問題は引き続き調査したいと思います。
マンガは下條村視察をモチーフとしました。
下條村、飯田市の視察報告はこちらから