47.チャイナタウン <3.0>                一覧表へ
 [内容]1930年代のロサンゼルス。私立探偵ギティスの許に水道局の管理部長であるモーレイ氏の夫人より夫の不倫調査
  をしてほしいと依頼がある。間もなく何者かによって不倫疑惑が新聞にリークされ、更にモーレイ氏の遺体が発見される。
  当初、調査依頼をしに来た女性は本当の夫人でなかった・・・
 [寸評]当時の時代風俗を映し出しているのだろうが、全体的に重苦しいテンポ・内容であった。セリフの所々で「チャイナタ
  ウンだからね・・」とあるが、実際のチャイナタウンの風景は最後の方しか出て来ないし、意味合いが理解できなかった。
  重苦しく感じたのは主演のジャック・ニコルソンが「カッコーの巣の上で」の印象が強い事と話の内容が’近親相姦’等、
  病んだ人間模様を描いている事からだろうか。この種の作品はテンポ良く、スカっとさせて欲しいものです。

48.象のいない動物園 <3.5>  
 [内容]戦争が激しくなった昭和18年、空襲時の危険を考え、子供達に人気の象・トンキーを始め、多くの動物を殺す事に
  なった・・・両親を亡くした二人兄妹を主人公に、生命や平和の大切さを問いかける作品。
 [寸評]ケーブルTVの「キッズステーション」で放映されていたので観てしまった。上野動物園の開園100周年を記念して
  作られた作品で小学校の教科書に出てくる実話「かわいそうな象」のアニメ化。淡々とはしているが、物悲しく訴えてくる
  作品。「東山動物園」というセリフも出てくる。この作品を観ながら、何故か動物園から猛獣が脱走してパニックに陥る
  「猛獣大脱走」(高校か大学時)という映画を思い出してしまった。

49.キャバレー <3.5>  
 [内容]ナチス台頭期の1930年代のベルリン。キャバレーの歌手サリーと英国青年ブライアンの実らぬ恋と2人を翻弄する
  貴族青年の退廃を軸に描くミュージカル作品。
 [寸評]キャバレーでのミュージカル・シーンとドラマの生活シーンがうまく交錯されている。主演のライザ・ミネリの大きな瞳と
  まつ毛、後半にみせる涙・ダイナミックなショーが印象的。この作品にも**が絡んでくるのが難点だが、ベルリンの世相・
  人生の悲哀を織り込んだ話。キャバレーのショーを率いるMCの軽妙なおしゃべりが結構、的を得ている。余談だが私と
  ほぼ同世代の俳優・高嶋政伸が某放送で’私の傑作’と称して「第三の男」と本作品を挙げていた。

50.A.I.(artificial intelligence=人工知能) <4.0>  
 [内容]地球の温暖化により、両極の氷山が溶けて、世界の都市が水没してしまった未来が舞台。人類は技術革新を重ね、
   オーナーに対して愛情を感じる事のできるA.I.を備えたロボットを開発する。ヘンリーとモニカの夫婦は実子のマーティン
   が重病のため冷凍催眠装置で眠らせ遠い未来に治療の可能性をかけていた。ヘンリーはモニカの心を和らげるため、
   A.I.を備えた人間と見分けの出来ない「デイビッド」を引き取る事にする・・・・
 [寸評]スピルバーグ監督が故キューブリック監督の意向を汲んで映像化した作品。スピルバーグならではの手法で未来
   社会をうまく表現していて、彼の作品の中では一番”愛”を強調した作品ではないか。映画の中で存分に出てくるが「ピノ
   キオ」の骨子と似ているし、同時に「鉄腕アトム」が思い出される。人間がロボットを虐待するシーンがあるが、結構新鮮に
   思えた。この映画は特に「デイビッド」に感情移入して観ないと、醒めた評価をしてしまうかも・・・。「デイビッド」を演じた
   ハーレイ君の演技は「シックス・センス」の時より、磨きをかけた素晴らしいものでした。

51.のど自慢 <3.5>  
 [内容]群馬県桐生市を会場にNHKの「のど自慢」が開催される事になった。その予選・本選に出場するにあたっての色々
   な人(売れない演歌歌手・仕事がうまくいかない四十男・姉が妻子ある男と駆け落ちした女子高生など)の人生の悲喜・
   葛藤を描く。
 [寸評]父が日曜日の昼にNHKの「のど自慢」を好んで観る。そのため、私も一緒に観てしまう事が多い。この作品のよう
   に、出場する人達各々には、出場するにあたって(周囲の反対や強烈な支援等)色々なドラマがあるのだろう。四十男
   をハウンドドッグの大友康平が演じている(役柄とはいえ「のど自慢」で歌う姿が滑稽)が、彼が仕事がままならないの
   に、妻や娘達が常に明るく支援する姿が微笑ましい。彼が娘に「人生はなあ。ファイトとガッツなんだ!」と語るところは
   印象的。何にしても明るく元気よくやっていく事が大事なんでしょう。

52.博士の異常な愛情 <4.0>  
 [内容]発狂した米空軍司令官(将軍)の発令で空爆隊がソ連に出撃する。副官や隊員達全て、命令に疑心暗鬼であっ
    た。一方、ソ連には爆撃に自動的に報復する核ミサイルが基地に装備されていた。司令官の命令が独断でなされて
    いる事に気付いた副官は司令官に出撃機の引き返しを進言するが・・・
 [寸評]先日「A.I.」を観た事もあり、S.キューブリックの名作として名高い本作品を観てみた。S.キューブリックの偉大さ
    と、本作品が1963年に製作されている事に驚きと凄さを感じた核戦争・米ソ冷戦を痛切に風刺したブラック・コメディ。
    最初の展開から引き込まれ、最後迄釘付けになる充実した93分であった。一人の司令官がおかしくなって権限を
    ふりかざして戦争が勃発してしまう・・・なんて現実にありそうで怖い。そういえば日本の事も皮肉られていたな・・・

53.雨あがる <4.5>  
 [内容]武芸の達人でありながら職に就けない武士浪人・三沢伊兵衛。彼の妻たよは人を押しのけたりしない夫の生き方を
  誇りに思っていた。旅の途中、長雨で足止めをくった宿場町で、城主が伊兵衛の武芸の腕に目を留める・・・
 [寸評]亡き黒澤明の脚本で彼に捧げる形で製作された作品。黒澤明の言い伝えに「観た者に晴れ晴れとした気分にさせる
  作品とすること」とあるようで、この作品は十分に言い伝えを具現化できた良い作品でないかと思う。久々に時代物で良い
  作品を観た。ストーリー自体は全体的に淡々とはしているが、人間としての在り方・心がけ等、うまく説いている。妻たよ
  の心がけは素晴らしい。現実には厳しいんだろうが、「心がけ」は見習うところ大じゃないかな。