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1.3時10分、決断のとき 3:10 TO YUMA (2007年米)<4.0> 
 [監督]ジェームズ・マンゴールド
  [出演]ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベール、ローガン・ラーマン、ベン・フォスター、ピーター・フォンダ
  [時間]122分
 [内容]ダン・エヴァンスは、かつては狙撃の名手だったが、南北戦争で片足を負傷して不自由となった。彼は妻と2人の
   息子と共に、アリゾナで小さな牧場を営みながら暮らしていた。しかし干ばつが続き、借金がかさみ、生活は苦しくなる
   一方だった。そんなある日、町へ向かったダンは、早撃ちで鳴らした強盗団のボス、ベン・ウェイドが保安官にあっけなく
   捕まる現場に居合わせる。ウェイドは裁判所のあるユマへ連行される事が決まるが、そのためにはユマ行きの列車が
   出発する3日後の午後3時10分までに遠く離れたコンテンションの駅に送り届けなければならない。道中はウェイドの手
   下をはじめ様々な危険が予想された。それでもダンは報酬目当てに護送役に名乗りを上げ、護送団の一員として過酷
   な任務に旅立つのだったが…。
  [寸評]今年の初見作品はレンタルDVDで鑑賞した本作品。ラッセル・クロウとクリスチャン・ベイルの2大スター競演で贈る
   熱き男の西部劇ドラマ。エルモア・レナードの短編小説を基に製作された1957年の「決断の3時10分」をリメイクした作品。
   アリゾナから裁判所のあるユマへ移送される事になった強盗団のボスと、彼をユマ行きの列車が出発する駅まで護送す
   る事になった借金苦の牧場主、対照的な境遇に生きる2人の男が道中で繰り広げる駆け引きと奇妙な心の交流を描いた
   内容。主役2人の存在は際立ち、2人の交流のみならず、ダンと息子のやり取り等、胸が熱くなる所があり、話しはシンプ
   ルながら見応えがあった。やはり父親は、どんな事でも一つでもよいから、子供に”ここぞの時にやる事はやる”を見せ
   なければならないのだろう。私の父親もかつて見せてくれたように、子供達に何らかの形で見せられるとよいのだが・・・
   久々に西部劇を観たが、たまにはいいですね。最後の展開は息を呑むというかビックリであった。

2.キャピタリズム マネーは踊る CAPITALISM: A LOVE STORY (2009年米)<4.0> 
 [監督]マイケル・ムーア
  [出演]マイケル・ムーア 他
  [時間]127分
 [内容]2008年9月、信用リスクの高い住宅ローンである“サブプライムローン”問題が顕在化し、世界有数の証券会社リーマ
   ン・ブラザーズが破綻し、これを契機に金融危機が巻き起こり、世界は空前の大不況に陥った。米国の一般庶民の中に
   は、一夜にして職も自宅も失い路頭に迷う人々が続出する。対照的に、そのサブプライムローンで暴利を得てきた巨大金
   融機関には、救済を目的に国民の血税が大量に投入される皮肉な事態が巻き起こる。どうして、米国の資本主義(キャピ
   タリズム)は、こんな不条理な事になってしまったのか。その答えを求めて、ニューヨークのウォール街へと乗り込んでいく
   マイケル・ムーア監督だったが…。
  [寸評]「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、デビュー作の「ロジャー&ミー」以来、20年
   ぶりに経済問題をテーマに描くドキュメンタリー。08年のリーマン・ショックを契機に起こった大不況は我々を含め、世界全
   般に影響を及ぼした。米国の資本主義についてマイケル・ムーア監督がいつものテンションで切り込んでいき、最初から
   最後迄惹き付けられた。冒頭の「刺激が強いので・・・」というコメントは全編を観てみると的を得ている。1%の富裕層が、そ
   の他99%より巨利を得ている事、企業が黙って社員の生命保険をかけて巨利を得ている事など、複雑怪奇な思いにさせら
   れる場面が幾つか生々しく描かれる。マイケル・ムーア監督の強い覚悟と熱い思いが伝わる渾身の作品といえる、刺激的
   なドキュメンタリー。後々の人生はどうなる事か?

3.きみに読む物語 THE NOTEBOOK (2004年米)<4.0> 
 [監督]ニック・カサヴェテス
  [出演]ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、ジーナ・ローランズ、ジェームズ・ガーナー、ジョーン・アレン
  [時間]123分
 [内容]ある療養施設で暮らす初老の女性は若かりし情熱の日々の想い出を全て失っていた。そんな彼女のもとへデュー
    クと名乗る初老の男が定期的に通い、ある物語を読み聞かせている。それは古き良き時代の米国南部の夏の恋物語
    だった―。1940年のノース・カロライナ州シーブルック。裕福な家族とひと夏を過ごしにやって来た少女アリーは、そこ
    で地元の青年ノアと出会う。その時、青年の方は彼女こそ運命の人と直感し、一方のアリーもまたノアに強く惹かれて
    いくのだった。こうして、2人の恋は次第に熱く燃え上がっていくのだが…。
  [寸評]ニコラス・スパークスの長編デビュー小説を映画化したラブ・ストーリー。運命的な恋に落ちながらその関係を引き
    裂かれてしまった一組の男女の、時を経た永遠の愛をロマンティックに描いた内容。昨年12月に同僚のOさんがDVD
    で観られ推奨してくれ、丁度良いタイミングで1/2にBS日本で放送されたので録画しておいて鑑賞した。純粋で正統な
    ラブストーリーであり、認知症、人の心に潜む思い等を絡ませており、なかなか考えさせられる面があった。ノアの365
    通の手紙を阻んだアンの母の過去の告白はインパクトがあった。現在の幸福、伴侶に満足しているものの、奥底には
    ・・・という業の深さを感じ、ああいう人は実際かなりいるのではないかな・・・。最後のシーンは良かった。私も、あのよう
    になりたい、と思う。
    
4.オーシャンズ OCEANS (2009年仏)<4.0> 
 [監督]ジャック・ベラン、ジャック・クルーゾ
  [出演]<日本語版ナビゲータ>宮沢りえ
  [時間]104分
 [内容]「海って何だろう?」それは、ある少年の一言から始まった。「オーシャンズ」は、そんな問いかけに答えるための人
    類の挑戦であり、そこで繰り広げられる、生命の奇跡に出会うための旅である。世界50ヶ所で100種の生き物達の姿を
    撮影し、見た事もない愉快で可愛い魚や、衝撃の狩のシーン、驚異の海の光景が映し出される・・・
  [寸評]「WATARIDORI」の製作陣が今度は海をテーマに壮大なスケールで贈る海洋ドキュメンタリー。海の神秘と躍動感
    に満ちあふれた生き物達の命の営みが織りなす決定的瞬間の数々が、長期にわたる粘り強い取材と最新テクノロジー
    を駆使した撮影システムによって圧倒的な臨場感と大迫力の映像で展開される。子供(中学生以下)500円という事で
    一姫二太郎も連れて行こうとしたが、部活動等で都合が合わず、妻と鑑賞してきた。「WATARIDORI」を観てから生物
    ドキュメンタリーにひき込まれた私だが、段々慣れてきて、この場面ではシャチが出てくる!と読めるようになった。本
    作品は非常に淡々としているが、撮影が非常にきめ細やかで、よくこんな所を捉えたものだと感心する。イワシの群れ
    を狙う鳥とイルカとクジラの4つどもえの戦いやカニとヤドカリの決闘シーン等、随所に見応えのあるシーンがある。さす
    が「WATARIDORI」の製作陣だと思う。撮影に4年かけた作品ゆえ、本編に採用されない貴重な映像も多々あるだろう。
    DVD(orブルーレイ)の特典映像を楽しみにしているし、子供達にも見せてあげたい。

5.今度は愛妻家 (2009年日)<4.5> 
 [監督]行定勲
  [出演]豊川悦司、薬師丸ひろ子、水川あさみ、濱田岳、城田優、津田寛治、奥貫薫、井川揺、石橋蓮司
  [時間]131分
 [内容]かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介だが、今は写真も撮らずにダラダラと呑気な毎日を送っている。一方、
    健康オタクの妻さくらは、そんな夫に文句を言いながらも、かいがいしく世話を焼いている。しかし、ある時、俊介は、友
    達と箱根旅行に行く直前のさくらに“子どもを作る気がないなら、別れて”と切り出される。その場はごまかしたものの、
    さくらと入れ代わりでやって来た女優志願の蘭子といいムードになったところに、たまたま引き返してきたさくらが現わ
    れ、いよいよ愛想を尽かされる。その後、旅行に行ったさくらはなかなか戻らず、最初こそ独身生活気分を満喫してい
    た俊介だったが…。
  [寸評]脚本家・中谷まゆみ原作の同名舞台劇を映画化した夫婦愛のドラマ。ぐうたらなダメ夫が結婚10年になる妻との結
    婚生活にうっとうしさを感じながらも、いつしかごく当たり前の日常の幸せをかみしめていく姿を、しみじみとしたタッチで
    綴った内容。あの名作「GO」の行定勲監督と私の高校~大学時代のアイドルの薬師丸ひろ子のコンビという事で気に
    なっていて、かつネットの評価で「泣ける!」という言葉につられ、午後有休の時間を使って鑑賞。ネタバレするといけな
    いが、浅田次郎的な世界を思わせ、後半に仕掛が解明され、しんみりとさせられる展開である。コミカルで幻想的では
    あるが、泣けて、清楚な気持ちにさせられた。妻は一番!妻は大切にしなければ・・・。40代ぐらいの夫婦が観て夫婦の
    あり方を見つめ直すのもよいのかも・・・最近、お母さん役が板に付いていた薬師丸ひろ子もいい女性役を演じていた
    し、豊川悦司は上手く、石橋蓮司は貫禄のある迫真の演技だったと思う。私は前にも書いたが、○○は拒絶反応する
    が、石橋蓮司が演じた役柄は違和感がなかった。実は彼の役柄も種明かしがあるのだけどね・・・。観て良かったと素直
    に思える作品です。

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