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61.カールじいさんの空飛ぶ家 UP (2009年米)<4.5>
[監督]ビート・ドクター
[出演](声の出演)エドワード・アズナー、ジョーダン・ナガイ、ボブ・ピーターソン
[時間]103分
[内容]古いけれど手入れの行き届いた一軒家に暮らす老人カール・フレドリクセンは、開発の波が押し寄せる中、頑なに家
を守り抜いてきた。そこは、今は亡き最愛の妻エリーとの素敵な思い出に満たされた、かけがえのない場所だった。しか
し、ついにカールは家を立ち退き、施設に入らなければならなくなる。そして迎えた立ち退きの日の朝、なんとカールは無
数の風船を使って家ごと大空へと舞いあがるのだった。それは、エリーと約束した伝説の場所“パラダイス・フォール”への
大冒険の始まりだ・・。ところがその時、少年ラッセルが空飛ぶ家の玄関にいた。驚いたカールは渋々ながらもラッセルを
招き入れ、一緒に旅をするハメになるのだが…。
[寸評]ディズニー・ピクサーが贈るアドベンチャー・アニメーション。偏屈で孤独な老人が、亡き妻との約束を果たすべく2人
の思い出が詰まった我が家に大量の風船をつけ、偶然乗り合わせた少年と共に大冒険に繰り出す姿を描いた作品。最近
3D上映が頻出してきて、今回、妻子と3D上映版をメガネを付けて鑑賞した。我が家では恒例のピクサー作品の劇場鑑賞
だが映画での3D鑑賞は初めてとなる。今回は老人が主人公という事で、どんな展開をするかと思ったら、妻との思い出を
実に情緒的に回想し、元気溌剌にアクションが展開され見応えがあり、楽しめた。妻との回想シーンは微笑ましいし、時折
妻の名を口にする所は好感が持てる。我々も高齢になってもああありたいと思うな。自分にとって憧憬な存在であった人
物と対面したが幻滅したり、ラッセルの環境、カール(高齢者)の元気さ等は世相を映しているようであった。ひたすら妻の
思いをかなえる事に終始(それは素晴らしい事だが)していたが、ラッセルや動物達にも温かく柔和な対応になっていく様
は爽快な気持ちになる。ピクサーらしさを発揮した楽しい作品だったが、3Dは物足りさなさを感じた。
62.宇宙戦艦ヤマト 復活篇 (2009年日)<4.0>
[監督]西崎義展
[出演](声の出演)山寺宏一、伊武雅刀、藤村歩、由愛典子、茶風林、青野武、永井一郎、古谷徹、緒方賢一
[時間]135分
[内容]西暦2217年、移動性の巨大ブラックホールが太陽系に接近、地球が呑み込まれる事が確実となった。人類は2万
7000光年彼方のサイマル星系への移住を計画し、準備が進められる。そして2220年、地球消滅まであと3ヵ月・・・。科学
連邦宇宙局の指揮の下、古代雪が責任者を務める3億人の第1次移民船団が出発するが、謎の艦隊の襲撃に遭い、消
息を絶ってしまう。さらに、第2陣までもが消息不明となる事態になる。そこで、宇宙科学局本部長・真田は、幾多の人類
の危機を救った伝説の男・古代進を呼び寄せる。そして、再建が進められていた宇宙戦艦ヤマトの艦長に任命すると、第
3次移民船団の責任者としてその護衛の大任を託すのだった・・・
[寸評]1974年のテレビ初登場以来、本格的なアニメブームを巻き起こした「宇宙戦艦ヤマト」はTVシリーズ3作、TVスペシ
ャル1作、劇場版4作が製作・公開され、1983年の「宇宙戦艦ヤマト-完結篇-」で幕を閉じた。小6〜高1までヤマトに熱中
し、作品内容の幾つかの矛盾も素直に受け入れて楽しませてもらった。特に音楽はどれをとっても素晴らしかった。現在に
至っても映画とクラシック等の音楽を愛好しているのはヤマトの影響と言える。本作品は「完結篇」以来、26年ぶりに製作
された劇場用作品で、これも15年程前(?)に構想が出ながら、西崎氏の破産・逮捕や松本零士氏との法廷闘争などで
製作は頓挫し、クラシックを凌駕する素晴らしい音楽をつくった宮川泰氏、羽田健太郎氏、古代進の声を演じた富山敬氏
が亡くなられ、そうした状況を克服し、よくぞ公開にこぎつけてくれたと思う。(「復活篇」が製作された事に対する賛否両
論、作品内容に対する賛否両論は巻き起こるのは必然・・・)「完結篇」の17年後を舞台に、人類の命運を託され復活した
宇宙戦艦ヤマトと艦長・古代進の活躍を描いた内容で、古代進・雪の娘:美雪、旧シリーズから引き続き、真田(長官に
出世)、徳川太助(機関長に出世)、佐渡先生、アナライザー、故島大介の弟・次郎(島に似ている)も登場し、新乗組員が
たくさん登場する。懐かしのキャラやヤマトが出てくると(恥ずかしながら)ワクワク感、嬉しさを感じてしまった。作品内容
は全般的にマズマズではないのかな?古代がヤマトだけでなく護衛艦多数も指揮し、貫禄がある。過去の劇場公開作
4作・新たなる旅立ちをDVDで観たが、矛盾・ツッコミ箇所満載なのがヤマトならではで、それを考えると今回も幾多の矛
盾・疑問はつきないが、まあヤマトだからね・・・と収まってしまう。
それでもボヤキたい事を列挙すると
・旧シリーズのキャラをもう少し登場させてほしかった(加藤、相原、南部等)
・天馬兄弟のノリの軽さは余りに違和感(嫌悪)を感じた(新乗組員の気質は現代の若者を風刺しているのかな・・・)
・真田、佐渡の行動はヤマト2の最終話の言葉(地球が星という機能を失っても、生き延びような!)と矛盾している
よ。(ツッコミ)
・古代が美雪を助けに行く際、佐渡先生、アナライザー、他の民衆は気にならなかったのだろうか?
・雪の扱いが余りに・・・・・最後迄消息不明(ネタバレ)、デスラーにでも助けられているのだろうか?
・音楽を宮川泰氏、羽田健太郎氏を尊重して、2人のモチーフを使用しているが、途中ネタ切れしたのか、クラシックを
使用していたが、徹底的に2人のモチーフを使用してもよかった気がする。アルフィーの歌は合っていなかった・・・
・異次元世界の敵・・・ついにここまで来てしまったか・・・SUS連合(これも政治臭いが・・・)はともかく、引いてしまった・・
言い出すと止まらなくなるが、それでもヤマトが好きな自分は何なのでしょう?DVDもきっと購入してしまうんだろうし、
続編(最後に「第一部完」と表示)が製作されれば観に行くでしょう。観客の入りがイマイチなようなので、第二部がある
のか不安になってくるが・・・復活しながら雪の扱いが不憫で、スカっとさせてほしいし、デスラーの再登場も切に願う。
鑑賞後に私の年齢に近い(?)子持ちのお父さんが劇場のグッズ店でヤマトのプラモデルを買うのを見て仲間のように
思えた。
63.おいしいコーヒーの真実 BLACK GOLD (2006年英・米)<3.5>
[監督]マーク・フランシス、ニック・フランシス
[出演]エチオピアの生産者の人々等
[時間]78分
[内容]コーヒーは世界で最も日常的に親しまれている飲物である。しかも近年、改めて世界的なコーヒー・ブームとなって
いるにも関わらず、コーヒー豆の価格は下がり続け、原産国のコーヒー農家は困窮し、その多くが破産の危機に瀕してい
るという。そんなコーヒー市場を巡る経済的な矛盾を解き明かすべく、代表的な原産国の一つ、エチオピアを例に、コーヒー
が私たちの口に入るまでの道のりを辿っていく・・・。
[寸評]馴染みのレンタル店で本作品のDVDを見つけ、私自身、コーヒーを愛好しているので関心を持ち、鑑賞した。現在、
フェア・トレードと叫ばれるが、その重要性が本作を観ると良く分かる。エチオピアの生産者に焦点を当て、コーヒーの原
価に占める、彼らの成果(豆代)の割合は数%にすぎず、子供には教育を満足に受けさせられないし、明るい希望を持て
ない社会構造となっている。そんな貧困に苦しむ農家を救おうと公正な取引を求めて奔走する一人の男の活動を追うド
キュメンタリーである。まだまだ我々は恵まれている。マイナーでありながら、こうしたドキュメンタリーは多くの人に観ても
らえるよう、もっと促進すべきだと思う。私自身もレンタル店で結構興味深いドキュメンタリー作品が並んでいたので、鑑賞
していきたい。
64.フロスト×ニクソン FROST/NIXON (2008年米)<3.5>
[監督]ロン・ハワード
[出演]フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、ケヴィン・ベーコン、レベッカ・ホール、トビー・ジョーンズ
[時間]122分
[内容]1974年。アメリカの歴史上、初めて任期途中で自ら職を辞した大統領という不名誉な称号を背負う事とになったリチ
ャード・ニクソンは、その後、沈黙を守り、国民は彼の口から謝罪の言葉を聞けずにいた。その頃、英国の人気テレビ司会
者デビッド・フロストは、より高いステータスを手に入れるべく全米進出の野望を抱いていた。そこで目を付けたのがニクソ
ンの単独インタビュー番組というものだった。早速、出演交渉を開始するフロストだったが、海千山千のニクソンは法外な
ギャラを要求しつつ、交渉を有利に進めていく。さらに、3大ネットワークへの売り込みも、コメディアン上がりのフロストなん
かに大物政治家の相手が務まるわけがないとの理由で不調に終わる。フロストはやむを得ず、番組を自主製作する事を
決意し、そのために莫大な借金を抱え込む事になる。こうしてようやくニクソンの単独インタビューには漕ぎ着けたものの、
番組が放送局に売れるかどうかは、ニクソンから謝罪の言葉を引き出せるかどうか、その1点にかかっていたのだが…。
[寸評]ウォーターゲート事件で辞任に追い込まれ、その後、罪を認める事なく沈黙を守り通したニクソン元米国大統領。し
かし、辞任から3年後の77年、一人の英国人司会者デビッド・フロストが彼の単独TVインタビューを敢行する。本作は全米
中が注視したこの伝説のTVインタビューをテーマに、その舞台裏で繰り広げられた両者のブレーンを巻き込んでの熾烈な
駆け引きと緊迫のトーク・バトルの模様を、ロン・ハワード監督がスリリングに描き出した実録ドラマ。劇場公開時(愛知県
では単館のみの上映だったと思う)から気にはなっていたが、観られず、ようやく100円レンタルDVDで鑑賞した。観て思っ
たのは自分が世界の史実に無知である事。(観ながら勉強にはなったが・・・)キューバの件等、ニクソンに関わる史実を
押さえていれば、本作品の観方も変わるだろう。フロストの執念は凄いし、インタビューであらゆるコメントを引き出す技
術は実際、難しいと思うが、巧みに行い、フロスト・ニクソンの各々の思惑がぶつかり合う様はひきつけられる。やはり世界
の史実、情勢には詳しい方がいいね・・・
65.アバター AVATAR (2009年米)<4.5>
[監督]ジェームズ・キャメロン
[出演]サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーヴァー、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲス
[時間]162分
[内容]戦争で負傷し下半身不随となり車いす生活を余儀なくされた元海兵隊員のジェイクは、ある時、“アバター・プロジェ
クト”にスカウトされる。それは、地球から遥か彼方の衛星パンドラで、莫大な利益をもたらす希少な鉱物を採掘するため
の事業だ。そのために、人間に有害なパンドラの環境で活動できるよう、先住民ナヴィと人間のDNAを掛け合わせた肉体
“アバター”が造られていた。そしてジェイクに課せられた任務は、そのアバターに意識をリンクさせ、遠隔操縦によりパンド
ラで生活し、ナヴィ族との交流を図る事だ。アバターを介してついに身体の自由を得たジェイクは、さっそく神秘的なパンド
ラの森へと足を踏み入れ、やがてナヴィ族の美しい女性ネイティリと運命的な出会いを果たすのだが…。
[寸評]「ターミネーター」「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督が、自らも長年にわたって開発に関わってきた3D技術
を始め、最先端の映像テクノロジーを存分に駆使したSFアクション超大作。109シネマズ名古屋にIMAXデジタルシアター
が導入された(日本で4館のみ)ので、3Dで話題の本作品をより体感したく、IMAXデジタルシアターで妻子と鑑賞。本格的
な3D時代の到来を感じさせられる優れた美しく迫力ある映像を堪能させてくれ、流石はキャメロン監督である。異星人が
暮らす美しい星を舞台にして、資源を求めて侵攻する人類の一員として、自らに課せられた特別な任務と先住民との間で
板挟みとなり苦悩する一人の青年の運命を3Dならではの迫力の臨場感で描いた内容で、最初から最後迄、引き込まれ、
話は(よくありがちな内容)シンプルで楽しく、環境問題を押し出している。シガニー・ウィーヴァーは60歳だけれども、まだ
まだ元気な第一線の役柄で活躍しているのも嬉しい。これまで3D映画を2回程観たが、本作品は正真正銘の3D映画とい
える。映像自体、美しいので、ソフトを購入するのならブルーレイなのかな?来年辺り、薄型テレビとブルーレイレコーダー
を購入したいと思っているが・・・。購入したら本作品がブルーレイ第1作となりそう。メイキング等の特典映像も今から楽し
みだ。