寛容力 〜怒らないから選手は伸びる〜 講談社 [著者]渡辺久信 [定価]1,200円+税[読了日]12/29
【概要】監督就任1年目にして日本シリーズの覇者となった埼玉西武ライオンズ渡辺久信監督。優勝旗を手にしただ
けでなく、若い選手を見事に一軍の舞台で開花させた能力も高く評価されている。その伸び伸びとした選手育成法、
また選手を信じリスクを厭わない起用法は選手だけでなくフロントからも信頼を得ている。そんな渡辺監督の若手
の指導の基本は、“寛容力”すなわち、失敗やミスを怒らない事だという。その真意とは?
【寸評】今年の締めは巨人を破った西武の渡辺監督の書。私より1歳上の彼が今年のプロ野球の頂点を極めた。晩年
は2回自由契約の憂き目にあい、台湾でも修行して苦労した事、あの89年のブライアントへの投球の舞台裏等を
踏まえた指導者としての考え方は非常に参考になるし、本当に色々な事を考えて取り組んでいて感心させられる。
狼花 新宿鮫\ 光文社 [著者]大沢在昌 [定価]1,600円+税[読了日]12/27
【概要】地獄を覗かされ、日本を捨てた国際犯罪者・仙田。外国人犯罪を撲滅するため、限界を超えようとするエリー
ト警官・香田。どん底からすべてを手に入れようとする不法滞在の中国人女性・明蘭。自ら退路を断ち突き進む男女
の思惑と野望が一気に発火点に到達した時、孤高の刑事・鮫島が選ばざるを得ない「究極の決断」とは?
【寸評】シリーズ第9弾。文庫になるのを待ちきれず、初めてハードカバーで購入したが、読み始めたのは購入後、
半年以上も経過した後であった。但し、読み始めれば早い!本作は警察内部、国の在り様等にも踏み込んだハー
ドな内容であると思う。今後の新作が楽しみだが、鮫島刑事は一体どうなっていくのか?彼の生き様は大変で孤高
だ。
頑固力−ブレないリーダー哲学 角川SSC新書 [著者]岡田彰希 [定価]760円+税[読了日]12/16
【概要】阪神タイガース第30代監督・岡田彰布。彼の人生はまさに阪神とともにあった。阪神の寮を遊び場として育っ
た少年時代。ドラフト1位で入団し、新人王を獲得し、85年には、“伝説のバックスクリーン3連弾”の3発目を叩き込
み、優勝への原動力となった。エリート人生を歩んできた男は、しかし不本意なかたちでオリックスへ放出される。
だが指導者としての長い下積みを経て、猛虎の主となった。常に優勝を争った激動の5年間について、寡黙な男が
初めて明かす、ブレないリーダー哲学。
【寸評】この5年間で一番勝星をあげた監督は実は岡田監督である。優勝こそ1回だが、安定的な戦いをし、阪神を
常に優勝争いするチームにした力量は大したものといえる。今年、正直言って確実に阪神が優勝すると思ってい
たが、巨人が最後の最後に引っくり返し、責任を取って辞任してしまった。幼少時代〜監督時代の色々な思い
が語られていて、好感持って読めた。
家計破綻に勝つ!-40代からの生き残りマネー戦略- 学研新書 [著者]荻原博子
[定価]735円[読了日]12/14
【概要】40代〜50代が将来お金に困らないためには「今なにをすべきか」。経済ジャーナリストの著者が解説する
お金の指南本。住宅ローンはどう返すのが正解? 子どもの教育費は? 老後資金はどう準備すればいい?
そんなお金の不安に答えてくれる!
【寸評】まさかのまさかの未曾有の不況。私の勤務する業界だけでなく、日本全体が政治も経済も混沌としている。
何か不安一杯になってくるが、その中で家計をどう上手くやり繰りしていっていいかの指南本を購入し、内容も
非常に有益で、気を引き締めさせられた。
大衝突―巨大国家群・対決の行方 集英社 [著者]池上彰 [定価]1,600円+税[読了日]12/7
【概要】衰退しつつあると見られる一方で、依然として巨大な潜在能力を秘めるアメリカ。昇竜のように発展を続ける
21世紀の超大国・中国。軍事力と豊富なエネルギー資源を武器に復活を遂げた、謎だらけの大国・ロシア。日本
人の気づかないところで、すでにアメリカ以上の実力を蓄えたEU。膨大な量の原油を支配下に置き、今や中東の
盟主ともなったサウジアラビア。そして、必死に生き残りへの道を模索する、アジアのリーダー・日本。世界を掛け
て激突する巨大国家群の衝突の行方を、気鋭のジャーナリストの著者が斬る。
【寸評】世界情勢に疎く(疎いではいけないが)私にとって、ともかく様々な手段で情報をとらえるしかない。本書は
巨大国家群の衝突に焦点を置いて色々な角度で語られている。ボリューム感があり、読み応えがあったし、
サウジアラビアの事は無知だったので参考になった。知らない事が多く、世界情勢・国内情勢に敏感でいないと
いけないと認識させられる。
ゴーン道場 朝日新書 [著者]カルロスゴーン [定価]700円+税[読了日]12/6
【概要】愛妻家で、4人の子のよき父親でもある日産自動車のカルロス・ゴーン社長が、企業にも家庭にも通じる
「人育ての奥義」を披露。共感する力が人を育て、自分も育ち、やる気がわいてくる。成功も失敗も知る、ゴーン
流の人生哲学が満載。
【寸評】部下・上司、新人、女性社員、ビジネスプロ、国際人、リーダー、子供、家族、自分を育てる上での著者の
メッセージがQ&A形式で分かりやすく語られ、勇気を与えてくれる。共感能力(理屈を超えて相手と心を通わせ
あう力)を磨く事に心掛け実践していきたい。
小林麻央のゼロからわかるニュースのキホン〈2009〉 日本経済新聞出版社
[著者]日本経済新聞出版社編 [定価]1,000円+税[読了日]11/30
【概要】2008年の日本を、世界を知り、理解できるニュース36を厳選。話題のニュースおさえておきたいニュースの
論点とポイントをチェック。
【寸評】小林麻央さんのファンという訳ではなく、ニュースのトピックスについてコンパクトにまとめられてすぐに
読めそうな本書を選んで購入した。分かりやすくて値段的にも良いと思う。
高嶋ちさ子の名曲案内 心が10倍豊かになるクラシック PHP新書 [著者]高嶋ちさ子
[定価]720円+税[読了日]11/29
【概要】初心者のためのクラシック入門書第二弾。前作に続き、著者自身が愛してやまない名曲を50作品を選りす
ぐって紹介する。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンから、ブラームス、ストラヴィンスキー、バーバーまで
名曲の聴きどころを、アメリカのオーケストラに所属していた時の経験や、現在ソリストとして活躍する立場か
ら、ユーモアたっぷりに語る。
【寸評】9月に名古屋で「めざクラ」に行った時に軽部アナより本書が刊行される事を話されたので、心待ちにして
いた。相変わらず、著者独特の調子で楽しく名曲について語ってくれる。クラシックのCDが眼り気味だったので
本書に取り上げられているCDを取り出してきて部屋や車内で聴くようにしている。
ルポ 内部告発 朝日新書 [著者]奥山俊宏、村山治、横山蔵利 [定価]760円+税[読了日]11/16
【概要】ミートホープ、「白い恋人」、船場吉兆・・・・。一連の食の偽装は、全て内部告発がきっかけだった。何故今、
「内部告発の連鎖」ともいえる現象が起きているのかを検証する。
【寸評】今は企業の不祥事が話題になり、各社でCSRが厳しく問われ、各社内でも色々と手を打っている。私の勤務
先もしかりである。本書は実際に起きた不祥事の内部告発者に焦点を当てたルポで非常に生々しい。特に最終
章の串岡氏の32年間に渡る企業との闘いはインパクトがある。
教育格差の真実 どこへ行くニッポン社会 小学館101新書
[著者]尾木直樹・森永卓郎 [定価]720円+税[読了日]11/2
【概要】自然現象でも歴史的必然でもない“ニッポンの格差”の真実を二人の論客が経済と教育の両面から、明快
に解き明かす!
【寸評】非常に教育・格差社会について鋭い切り口で議論されている(対談形式)。森永氏の言葉の「幸福は毎日の
積み重ねだ。今の環境の中で人生を精一杯楽しむ事が大切だ」は心に響く。我が家の一姫二太郎には、ともかく
「良い学校・良い会社」に拘らず、人に迷惑をかけず自律して生きていける人間になってほしい!そのように導くの
が、親の責任だと思っている。
竹中氏マトリクス勉強法 幻冬舎 [著者]竹中平蔵 [定価]950円+税[読了日]10/28
【概要】1の努力で10の成果。何を勉強したらいいのか?座標軸に書いてみると、今の自分が分かる、という著者
のマトリクス勉強法を公開。
【寸評】いつもながらこの種の本に手を伸ばしてしまう。章別に勉強法の極意が語られて参考になる。勉強する事
が何よりの財産、というのは納得させられる。
救援力 リリーフ投手の極意 ベースボール・マガジン新書 [著者]鹿取義隆
[定価]760円+税[読了日]10/18
【概要】1球のために2000球を投げる・・・。組織を支える力となるのは、準備とそこから得た自信、強い肉体、そし
て状況判断・・・・。19年の現役生活のほとんどをリリーフ投手として過ごし、引退後は日本、アメリカで指導者と
して活躍した著者が、リリーフ投手の条件と極意、「酷使」されることの幸と不幸を語り尽くす。ビジネスにも通じる
最強かつ軽妙な救援投手論。
【寸評】著者は巨人の王監督時代に黙々と熱投し、西武に移籍しても大活躍した。巨人・WBCのコーチも歴任した
努力の理論家でもある。彼の時代時代の生き様、考え方、コーチとしての視点等、非常に好感が持て、共鳴
させられる。また巨人の首脳陣に加わる等、野球界に貢献していってほしい。
サラリーマン「再起動」マニュアル 小学館 [著者]大前研一 [定価]1,500円+税[読了日]10/18
【概要】情報・プレゼン力強化など実戦メソッド満載。日本が“フリーズ”している今こそ、自分を磨くチャンス。 パソ
コンを立ち上げることを「再起動」というが、まさにパソコンが息を吹き返すように、最新のビジネス潮流に乗り遅れ
そうになっている30代後半から40代のビジネスマン、および低迷する企業が新たな再スタートを切るための実践
的なメソッドを著者が解説。
【寸評】著者の本は年に1回は読み、いつも危機感を感じさせられる。何も進歩していない自分に自己嫌悪に陥る反
面、”まだこれから何とでもなるか!”と、どことなく勇気付けられる事もある。急激な変化・革新により、決して、ど
んな事も安泰とはいえない。ともかくノホホンとはしていられないんだよね・・・
貧格ニッポン新記録 小学館101新書 [著者]ビートたけし [定価]720円+税[読了日]10/17
【概要】食品偽装事件、朝青龍騒動、ねじれ国会、納豆ダイエット、裁判員制度、熟年離婚、居酒屋タクシー、山
本モナ騒動…。事件、社会風俗、流行など、独自の視点で斬って棄てる著者の名物時評の中で評判の高かっ
た秀逸コラムを厳選。 破天荒で超脱したデタラメの中に見え隠れする世間への鋭い皮肉・風刺が、日本人の
心に突き刺さる!
【寸評】1983年8月より『週刊ポスト』で連載している「21世紀毒談」の最新傑作選で著者の核心をつくエッセイが
好きな私には待望の書。笑わせる文言が散りばめながら、世にいう経済・政治評論家より、しっかりと世の中
を見て意見していると思う。著者と同級生との話が、何か人間の本能的な事を語っていて微笑ましい。
ワールド・ビジネスサテライト 再生ニッポン 日経ビジネス人文庫
[著者]小谷真生子、テレビ東京局=編 [定価]667円+税[読了日]10/11
【概要】政治の機能不全で沈滞ムードが漂う日本経済。改革の手綱がゆるんでしまえば、再び沈没しかねない。
ワールドビジネスサテライトのコメンテーターが一堂に集結し、日本経済活性化の具体的な処方箋を提言!
【寸評】ワールドビジネスサテライトはタイムリーで良いニュースを取り上げてくれていて毎日見た方が良い事は
分かるが、なかなかそこまで出来ないのが実状。本書は識者達が幾つか提言を語っていて、非常に参考にな
る一方、怖くもある(年金等)。情報は自分でも考えて収集して理解していかないといけない。
細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本! 小学館
[著者]細野真宏 [定価]1,200円+税[読了日]10/5
【概要】数学、経済だけでなく、ビジネス、日常会話など、あらゆる分野に応用できる「数学的思考力」を、どんな数
学嫌いな人にでも著者独自に分かるように解説。
【寸評】細野氏の著者はどれも分かりやすく、年下ながら敬服する。「数学的思考力」は日常的な様々な場面で必要
で活かせる事を説いている。幾つかの例題で人に説明する事の難しさを痛感する。分かってはいるものの、頭の
悪さ、数学的(論理的)思考力の無さを改めて認識させられた。そうは言っても努力だね・・・
深層「空白の一日」 ベースボール・マガジン新書 [著者]坂井保之 [定価]780円+税[読了日]10/2
【概要】1978年11月21日に起こった江川騒動。球団代表を歴任し、「空白の一日」を現場で体感した著者が、あの騒
動から今日まで球界を覆いつくす、巨人軍の「負の遺伝子」を追究する。
【寸評】「空白の一日」は私が小六の時の出来事で印象に残っている。その時、新生西武にいた著者の視点から克
明に状況が生々しく描かれている。江川騒動から今日まで球界を覆いつくす”Gの遺伝子”について言及していて
巨人シンパからすると余り気分が良くないが、的を得ているのも確かだ・・・。私も巨人のオーナーやフロントが好き
な訳でなく、長年(04〜05年除)、監督〜選手を応援してきているのだが・・・
バカでエースがつとまるか! ベースボール・マガジン新書 [著者]堀内恒夫
[定価]760円+税[読了日]9/27
【概要】打たれた状況と球種くらい覚えてろ! 記憶力の悪いピッチャーはエースになれない。新聞記事のスクラップ、
こまめなメモを欠かさない。先発前夜は記憶を呼び起こしてのシミュレーション。巨人V9を支えた豪傑投手が明か
すエース論。
【寸評】著者のような本当の元エースが語るエース論は賛同する。最近では1年活躍するだけでエースの称号が
与えられる風潮だが、著者が新聞にも書いていたが、中日でいうと山本昌投手こそが本当のエースである、と
いう。著者の若い時代の話、隠れた努力の事、槙原・斎藤・桑田の中で誰をエースと思っていたか等、興味深く
一日で読了してしまった。
無所属の時間で生きる 新潮文庫 [著者]城山三郎 [定価]438円+税[読了日]9/25
【概要】どこにも関係のない、どこにも属さない一人の人間としての時間─それは、人間を人間としてよみがえらせ、
より大きく育て上げる時間となるだろう。「無所属の時間」を過ごす事で、どう生き直すかを問い続ける。
【寸評】著者の作品は何作か読んでいるが、エッセイは心が和む。印象的な言葉は”「一日一快」で良しとしよう!。
一日に一つでも、爽快だ、愉快だと思える事があれば、「この日、この私は生きた」と自ら慰める事ができる・・・”
本当にその通りだよな。家族によって心を和ませられる私は幸せだと思う。
ゆるみ力 日経プレミアシリーズ [著者]阪本啓一 [定価]850円+税[読了日]9/21
【概要】「ゆるみ力」の基本哲学は「今を生きること」。自分を信じ、過去を肯定し、人とは比べず、何かのせいにせず、
淡々と生きる。そうすれば、成果主義が来ようと、どんな困難があろうと、笑ってやり過ごすことができる。カリスマ
コンサルタントが、ストレスだらけのビジネスマンに贈る「頑張らなくていい」ビジネス書。
【寸評】人間関係、リーダー、トラブル、キャリア、お金、健康に効く有用な話をしてくれて、読んでいて心地よい内容。
お金の使い方の素振りの事例から金運のある人、ない人の話や健康の処方箋等は参考になる。
浅田次郎とめぐる中国の旅 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界 講談社
[著者]浅田次郎 [定価]1,500円+税[読了日]9/14
【概要】『蒼穹の昴』『中原の虹』完全ガイドブック 浅田次郎氏が見どころを解説する紫禁城ツアーや北京の歩き方。
小説の世界がビジュアルで立ち上がる、読んで、見て楽しむガイドブック。
【寸評】今年1/2〜5に家族で北京を訪れた事もあり、本書が発売され、書店でパラパラめくった時に懐かしさと「鉄道
員」の著者が、どんな形でガイドするのか興味があり、衝動的に購入。実際は著者の中国歴史小説3作の紹介と
舞台に係るスポットを紹介する形。中国史は極めて疎いので、今後、幾つか読破していきたいところだが・・・
仕事道楽 岩波新書 [著者]鈴木敏夫 [定価]740円+税[読了日]9/7
【概要】「この会社は毎日何が起こるかわからないから、ほんとに楽しい」。高畑勲・宮崎駿の両監督はじめ、異能の
人々が集まるジブリでは、日々思いもかけない出来事の連続。だがその日常にこそ「今」という時代があり、作品の
芽がある―「好きなものを好きなように」作りつづけてきた創造の現場を、世界のジブリ・プロデューサーが語る。
【寸評】中学生の頃、月刊誌「アニメージュ」を読むのが楽しみだった。それを手掛けていたのが著者であり、発刊時
の経緯が語られているし、高畑勲・宮崎駿との関わり、彼らの個性、仕事への取組み姿勢の記述も興味深かった。
一度も挫折を感じた事がない、と言う生き様に敬意を感じる。
古田の様 扶桑社 [著者]金子達仁 [定価]1,575円+税[読了日]9/2
【概要】プロ野球選手として数々の記録を残しながら、04 年の球界再編騒動では獅子奮迅の働きを見せ、昨年惜しま
れながら引退した古田敦也。彼の半生を関係者の証言をもとに振り返る。
【寸評】著者の作品を久しぶりに読んだ。古田氏の半生記として小学校〜大学時代の事も語られているし、阪神・矢野
捕手、五十嵐・石井寿投手との対談、山本昌、上原投手とのエピソード等、野球ファンにとっては非常に興味深い
内容で楽しめた。彼の残した数字だけでなく、キャッチング技術がいかに高かったか認識させられた。
オリンピック野球日本代表物語 ダイヤモンド社 [著者]横尾弘一 [定価]1,600円+税[読了日]8/30
【概要】物語は、いまから24年前、1984年のロサンゼルス五輪から始まる。野球大国アメリカの地で開催されたオ
リンピックで、「野球」は初の公開競技となった。続くソウル五輪、バルセロナ五輪と、野球日本代表は3大会連続
でメダルを獲得。しかし、松坂・黒木らのエースを配し、悲願の金メダルに迫った00年シドニー五輪では3位決定
戦で韓国に敗れ、メダルを逃した。そして、長嶋ジャパンでリベンジを諮った04年アテネでの銅メダルを経て
08年北京五輪=星野ジャパンではいかなる結果に?。
【寸評】08年の北京五輪の野球は非常に注目していて、予選が始まる前から本書を読み始めた。オリンピックにか
ける監督・選手・関係者の熱い思い、日の丸を背負う重みが伝わってくるし、過去、プロ野球で馴染みの幾人か
の選手がオリンピックで戦った事も認識できた。それにしても北京での結果は残念だった。国際試合の独特の
重みがあるのか、人選〜戦略に欠けたのか?ともあれ、プロ野球の残りのシーズンを存分に盛り上げてほしい。
ワーキングプア 解決への道 ポプラ社 [著者]NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班・編
[定価]1,200円+税[読了日]8/12
【概要】「時代の言葉」となったワーキングプア。問題は山積みのまま、貧困は多くの人々を苦しめ続けている。海外
での取り組みを取材していくなかで見えてきた。「この国に足りないもの」とは?『ワーキングプア』待望の続編。
【寸評】前作を読んで、非常に強烈なインパクトを受けた。昨年11月にNHKでシリーズ第3弾の放送を観たが、その時
の内容をまとめたのが本書である。日本でも地域により状況が異なり、韓国・米国・英国でも同様な問題が発生
している事を生々しく描いている。地道に粛々と生きていかねばならないが、生きていくという事は大変な事だ。
カリスマ教師の心づくり塾 日経プレミアシリーズ [著者]原田隆史 [定価]850円+税[読了日]8/9
【概要】子供や若者達の間でまじめが崩壊している。全力で汗水流して頑張る事を、損な事と、格好悪い事と感じてい
るのだ。そんな生徒たちに夢や目標を与え自立型人間に変えてきた著者の心づくりの指導法を紹介。
【寸評】著者は昨年、会社に来て講演してくれた。非常に情熱的で参考になる事を幾つか語ってくれ、勇気を与えてく
れた。本作品も彼の教育への熱い思い、命をかけて仕事へ取組む姿勢が伝わってくる。一寸先は”光”。いい言葉
だね。前向きに”光”となるよう頑張っていきたい。
宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由の力 朝日新書[著者]斉藤守彦
[定価]700円+税[読了日]7/25
【概要】『崖の上のポニョ』と『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』をひっさげて、日米の大物監督が最新作
でしのぎを削る。かつて6回あった直接対決の興行面に注目し、宮崎アニメが牽引してきた日本映画界をひもとく。
【寸評】7/25に東京へ出張した際、移動時間の間を使って読みきった。宮崎作品とスピルバーグ作品が同じ時期に
対峙した過去6回の時代の各々の思惑・状況を記していて、映画ファンにとっては、非常にひきつけられる内容だ。
著者が「ハウルの動く城」を評価していない事には安心した。
鬱の力 幻冬舎新書[著者]五木寛之、香山リカ [定価]740円+税[読了日]7/13
【概要】迫りくる一億総ウツ時代。うつ病急増、減らない自殺、共同体崩壊など、日本人が直面する心の問題を作家と
精神科医が徹底的に語りあう。「鬱」を「明日へのエネルギー」に変える新しい生き方を提案。
【寸評】人間、誰しも精神的に辛くなる事は、どこかで、周期的にあるはずである。鬱について問題意識の高い両名の
対談の内容は興味深く、共感する箇所も多い。何にしても、私・家族が皆、心身共に良いバランスで歩んでいきたい
もの。
シネマ坊主3 日経BP社[著者]松本人志 [定価]1,300円+税[読了日]7/5
【概要】松本人志の映画評論集「シネマ坊主」の第3弾で完結編。ハリウッド大作からミニシアター感動作まで約80の
話題作を独自の視点でぶった斬り! 10点満点の採点のほか、全作品にストーリーや見所などの映画データがついて
いる。本書は『大日本人』で映画監督デビュー後、初の映画評論集であり、『大日本人』の自己批評も収録している。
【寸評】「日経エンタテインメント」の著者の連載を見るのが楽しみだったが、9年の連載も休載する事になり、本書で完
結となる。著者の視点は厳しい所もあるが、鋭く、こんな所を見ているか、と感心される。本書で紹介されている作品
で鑑賞したいものもあり、著者の評論も参考にしたい。
クライマーズ・ハイ 文春文庫[著者]横山秀夫 [定価]629円+税[読了日]6/28
【概要】1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が
全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同
僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。
【寸評】以前、山ア豊子原作の「沈まぬ太陽」で御巣鷹山での惨状を知り、強烈にインパクトがあり、著者の著名な作
品が文庫化された時点で購入した。しかしながら、例のごとく積読状態だったが、映画化され、劇場公開迄に読もうと
奮い立ち、読んだ。冒頭は取っ付きにくかったが、段々と引き込まれていった。新聞社の内幕はこのような感じなの
だろうか?最後の女性の投書の掲載を巡る話が印象的だった。このエピソードが映画で割愛されていたのは非常
に残念だった。
14歳からのお金の話 マガジンハウス[著者]池上彰 [定価]1,200円+税[読了日]6/28
【概要】お金の成り立ちからはじまって、貯蓄と投資の違い/会社はだれのもの/景気をよくするには/年金とは/環境を
守るにも経済の考え方が必要・・・。現代のお金とそれにまつわる社会問題を、分かりやすい形で幅広く紹介。
【寸評】小6の一姫は結構本好きなので、私自身が常識を再認識する意味もあって、本書を購入して一姫に与えたら、
何とか読みきったようだ。漫画も交えて、シンプルに書かれており、最後に働く事の重要性・経済との関わりを説いて
いていて良い内容だと思う。あえて聞いていないが、一姫はどう感じただろうか?
今こそ長嶋イズムを!小学館[著者]柏英樹 [定価]1,000円+税[読了日]6/22
【概要】絶大なる人気を誇り、常に日本のプロ野球界をリードしてきた巨人軍。だが、いまやその人気にもかげりが出て
いる。2008年度も、勝って当たり前の選手層を抱えながら、5割前後を行き来している実状で、テレビの視聴率も急降
下している。一体、巨人軍に何が起こっているのか? 本書は、長年、長嶋茂雄、王貞治という偉大な選手を追い続け
た著者が、巨人軍の栄光の歴史を振り返りつつ、現在の姿を分析し、再び光を取り戻すことを願いつつ書き下ろし。
【寸評】長嶋茂雄や王貞治に、「カミさんより、柏さんの顔を見ているほうが長い」と言わしめた著者だからこそ活写できる
エピソードが綴されていて巨人ファンには嬉しい内容だ。 しかし、著者の思いは多くの巨人ファンの思いを代弁してい
るのではないか。間違いなくFA制度が始まり、他チームの4番打者をかき集める辺りから、おかしくなり、愛着も薄れた
と思う。松井秀喜以降、長く支えられる生え抜きの4番打者もいないし、試合は負けても、この選手が活躍してくれれば
よい、という愛着のある選手がいなく、原監督だから勝ってほしい、という思いで観ているのが実状。色々な面で盛り返
してほしいな・・・
エースの品格 一流と二流の違いは 小学館[著者]野村克也 [定価]1,000円+税[読了日]6/14
【概要】50年以上もプロ野球に携わってきた名捕手・名監督の著者が、自分が見てきたエース群像をエピソードを交えて
語る。一流と二流の違いとは何なのか。エースが存在することによって組織はどう変わるか。マー君はエースになれる
のか等々・・・
【寸評】何故か今年で著者の書を読むのは3冊目である。概ね、著者の言っている事は同じで、段々マンネリ化してきた
が、過去のエースを振り返り、品格・存在意義について語っている。著者が認める現在の球界でエースらしい投手は
「ダルビッシュ」と「川上」を挙げている(「上原」を評価していない)。本書で北京五輪の日本代表監督の選出についての
思い(本音)が綴られているのがインパクトがある。WBCの代表監督を狙っているのかな??
人生は勉強より「世渡り力」だ! 青春新書INTELLIGENCE 204出版社[著者]岡野雅行
[定価]750円+税[読了日]6/12
【概要】「痛くない注射針」で有名な世界一の職人は「人・情報のマネシ゛メントをする“世渡り力”がなきゃタ゛メ」と説く。
将来性ある技術を見極めるために大企業から情報を取る方法など、スキルを最大限生かす「世渡り力」の鍛え方を
公開。
【寸評】著者のメッセージは全編に渡って説得力があり、心に響く。今後も時折、見開きしたい作品だ。自分自身、勇気
付けられる箇所もあるし、”非常に甘いからまずいな!”と思う箇所もあった。著者のような人が数多く出てくると日本
も捨てたものじゃない。子供達も良い意味での「世渡り力」を身につけて力強く生きていってほしい。
「ザ・マジックアワー」 オフィシャルブック ぴあMOOK [定価]1,300円+税[読了日]6/8
【概要】三谷幸喜が再びメガホンを取った新作「ザ・マジックアワー」のオフィシャルBOOK。三谷監督のインタビューを中
心に、ストーリーや登場人物、世界観をたっぷり紹介し、撮影日誌やメイキング写真、スタッフの証言などから映画の
ウラ側も徹底解剖。佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、西田敏行ら豪華キャストのインタビューも掲載。
【寸評】劇場公開前に書店に置かれていた本書の中味をパラパラめくると興味深く、映画を観て面白ければ購入しようと
思っていた。映画が面白かったので、即、劇場の売店で購入して読んだら、楽しいエピソードやコメントが満載だった。
次回作も楽しみにしている。
プロ野球の一流たち 講談社現代新書[著者]二宮清純 [定価]760円+税[読了日]6/7
【概要】山ア武司打撃開眼の理由とは?新井貴浩はアニキを超えられるか?松坂大輔永遠の課題とは?中西太が語る
打者育成術、野村克也の配球術─。日本プロ野球の真髄を探る!
【寸評】著者の作品を久しぶりに読んだ。一流どころの極意、真髄に触れ、プロ野球界に対する提言を幾つか行っており
いつもながら楽しく読めた。野球は奥が深く、面白いスポーツだ。今後も著者の作品に触れる事を楽しみにしている。