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51.君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956 CHILDREN OF GLORY (2006年ハンガリー米)<4.5>
[監督]クリスティナ・ゴダ
[出演]イヴァーン・フェニェー、カタ・ドボー、シャンドル・チャーニ、カーロイ・ゲステシ、イルディコ・バンシャーギ
[時間]120分
[内容]1956年、ソ連の支配下にあったハンガリーの首都ブダペスト。独裁的な共産主義政権に対する市民の不満は募り、
学生を中心に自由を求める声は日増しに高まっていた。そんな中、政治にまるで関心のなかった水球のオリンピック
選手カルチは、学生達に連帯を呼びかける女性闘士ヴィキの姿を目にして心奪われる。そして、10月23日。その日に
オリンピックへ向けた合宿が始まる予定だったカルチは、街でデモ隊を導くヴィキを見かけ、彼女の後を追う。やがて、
デモが激しい銃撃戦へと発展していく中、一度は合宿に合流したものの、もはや傍観者ではいられなくなり、再びヴィキ
と共に、闘争の最前線へと身を投じていくのだが…。
[寸評]1956年の“ハンガリー動乱”と、その数週間後に起きたオリンピックでの“メルボルンの流血戦”という2つの史実を背
景に、歴史と政治に翻弄されながらも最後まで自由を求めて闘った若者達の愛と悲劇を描いた人間ドラマ。本作品は
全くノーマークでいて、愛知県では1館(伏見ミリオン座)でしか公開されていない。しかし、ネットでの評価が非常に高
く、全く世界史に疎い私は興味と学習の意味を持って、劇場へ足を運び、鑑賞。(前日が関東へ出張で、東京で友人と
食事をして終電で帰った事から久しぶりに土曜の朝まで熟睡できた<金曜夜はいつも何故かよく寝れない>ので、土曜日
午前の公開でも良いコンディションで鑑賞できた)恥ずかしながら、この史実は知らなかった。この動乱・革命、水球の
オリンピックの史実を、選手と革命運動メンバーとのラブストーリ−を絡めて見事に描いている。残酷な場面が多々ある
が、どの場面も見応えがあり、非常に強烈に胸に響いてくる。水球の試合の描き方も非常に上手く、凄いスポーツである
事が実感できた。オリンピックで雪辱を果たすのに対し、最後のヴィキの姿が哀しい・・・。本作品は今年鑑賞した外国映
画ではベスト作品といえる傑作です。
52.ルイスと未来泥棒 MEET THE ROBINSONS (2007年米)<3.0>
[監督]スティーヴン・J・アンダーソン
[出演]<声の出演>ダニエル・ハンセン、ウェズリー・シンガーマン、ニコール・サリヴァン、スティーヴン・J・アンダーソン
[時間]95分
[内容]発明家を夢見る孤独な少年ルイスは、幼い頃に母と別れ、家族の記憶を持たずに生きてきた。彼は母親を探し出す
ため、忘れてしまった記憶を取り戻す画期的な装置“メモリー・スキャナー”を発明する。しかし、その発明品を山高帽の
男に奪われてしまう。そんな時、ルイスは未来からやって来た少年ウィルバーと出会い、彼と一緒に未来の世界へと旅
立つ。彼はそこで、ウィルバーの楽しい大家族と幸せなひとときを過ごす。しかし、その理想の未来世界が、あの山高帽
の男によって変えられようとしていた。そして、それを阻止する鍵は、ルイスの過去に隠されていたのだった…。
[寸評]ディズニーのハートフルSFファンタジー・アニメーションで、孤児院に暮らす孤独な天才発明少年ルイスが、未来の
世界と自分の家族の運命を巡って悪者と対決する内容。妻子と観に行く上で、「マリと子犬の物語」とどちらを選択する
か悩んだが、本作品を選択し、皆で劇場で鑑賞(土曜の昼間)。土曜日の朝までよく寝れたので、今回は睡魔に悩まさ
れないかと思い、油断したせいか、結局、睡魔と闘い、かなりの箇所が記憶がない。やはり土曜の昼間の鑑賞は鬼
門かな?話はシンプルであるため、概ねの内容は理解できた。劇場に行って、睡魔に襲われるのは、映画愛好家として
失格か・・・正当な評価でないかもしれないが、作品は絵も相変わらず綺麗でマズマズの出来かと思うが、私はかなり
期待していたので、期待値には沿わなかった感じがする。子供達にとって未来は明るいものであってほしいね。ほんの
僅かなボタンの掛け違いが人から恨みをかいうる事があるのは教訓の一つなのでしょう。
53.恐怖の報酬 LE SALAIRE DE LA PEUR (1953年仏)<4.5>
[監督]アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
[出演]イヴ・モンタン、シャルル・ヴァネル、ペーター・ヴァン・アイク、ヴァラ・クルーゾー
[時間]149分
[内容]メキシコにほど近い中米の町ラス・ピエドラス。マリオは同じ食い詰め者や札付き達の集まるこの町で、恋人リンダ
や仲間のジョーと苦楽をともにしていた。そんなある日、町から500キロ離れた山上の油田で大火災が発生し、犠牲者
が続出してしまう。石油会社は一刻も早く消火させるため、ニトログリセリンの使用を決断し、危険なニトログリセリンを
運搬する4人を賞金付きで募集し、マリオ、ジョー、ビンバ、ルイジが選ばれた。こうして彼らは2台の運搬車に乗り込み、
現場へ向かうのだが…。
[寸評]2001年に三谷幸喜氏と和田誠氏の対談集「それはまた別の話」を読み、そこで本作品の事を取り上げられていた
のでマークはしていた。ある時、書店で廉価版(1,000円)のDVDを見つけて購入したものの、時が経過し、先日鑑賞した
「80日間世界一周」に引き続き、古き名作をようやく思い立って拝見。何でこれだけのスリルある作品を長期間、保留し
ていたのだろう。冒頭の40分はややだるく長く感じるが、ニトログリセリンを運搬し始めるシーンからは、薄氷を踏む感
覚で、手に汗を握る、見応え満載の展開である。断崖での切リ返しの場面、ビンバとルイジのトラックが何の理由も説明
なく爆発する場面、最後のマリオの帰路の場面はインパクトがあるし、よく練って製作されていると思う。この時代にこれ
だけのスリリングな作品が製作された事は凄い。本作品の存在を知ってから7年も経過して鑑賞できたが、往年の名画
を観るのも良いもので、満足度は高いです。
54.チャーリー・チャップリン ライフ・アンド・アート
CHARLIE: THE LIFE AND ART OF CHARLES CHAPLINE (2003年米)<4.0>
[監督]リチャード・シッケル
[出演]チャールズ・チャップリン、ウッディ・アレン、マーティ・スコセッシ、ジョニー・デップ、リチャード・アッテンボロー
[時間]131分
[内容]映画史上最も偉大な喜劇人である”チャーリー・チャップリン”の創作の秘密と芸の真髄、そして波瀾万丈の生涯を、
秘蔵映像と一流映画人たちの豪華インタビューで綴るドキュメンタリー。
[寸評]本年の締めの作品は私の好きなチャップリンの代表作等の名場面の数々、貴重な未公開映像、チャップリン映画の
出演者やウッディ・アレン、マーティ・スコセッシ、ジョニー・デップ等の現在の映画界の著名人達のインタビューで綴る
ドキュメンタリー。東京、大阪で上映されると共にDVDが発売される情報を得たのですかさず購入して拝見。チャップリン
映画を観てきた人にとっては、興味深く、十分に楽しめる内容だ。「ライムライト」のカルベロは父親を表したキャラクター
であったり、テリー役への指導の仕方、幼少の頃のロンドンの風景が作品の場面に反映されていたり、女性遍歴・トラ
ブル等、チャップリンの様々な一面が垣間見れる。2,3年前に主要作品のDVDが発売されたので買い揃え、拝見した
が、「殺人狂時代」については購入を差し控えた(過去、鑑賞歴は有るが、異色の内容ゆえ)。1年前に廉価版(500円)
を見つけたので購入したものの保留状態にある。「殺人狂時代」の製作背景〜心情が語られていたので、改めて近々に
じっくり観てみようと思った。映画界における偉人であるチャップリンの作品は本当に素晴らしい。皆様にも是非とも観て
ほしいと思います。作品を幾つか観た後に、このドキュメンタリーを観れば十分に楽しめるでしょう。
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